Visual Studio のコマンドおよびスイッチ

Visual Studio コマンドを使用すると、キーボードで統合開発環境 (IDE: Integrated Development Environment) と直接やり取りできます。 IDE にある数多くのダイアログ ボックス、ウィンドウ、およびメニュー コマンドには、コマンド ラインに相当するコマンドがあります。これらを コマンド ウィンドウ[イミディエイト ウィンドウ]、または [検索] ボックス に入力して、ダイアログ ボックスを表示したり、コマンドを実行します。

Visual Studio コマンドは、いくつかの一般的な構文規則に従っています。構文規則については、以下で説明します。 使用できるコマンドには、[オプション] ダイアログ ボックスの [環境] の下の [キーボード] および [カスタマイズ] ダイアログ ボックスの [コマンド] タブに表示されるすべてのコマンド、およびユーザー定義のエイリアスやマクロが含まれます。

コマンド ラインからのビルド

コマンド ラインから Visual Studio プログラミング言語でプロジェクトをビルドする詳細については、「コマンド ラインからのビルド (Visual Basic)」、「csc.exe を使用したコマンド ラインからのビルド (Visual C#)」、「MSBuild (Visual C++)」、および「コマンド ラインからのビルド」を参照してください。 プロジェクトのビルドに MSBuild XML スキーマ ファイルを設定する詳細については、「MSBuild リファレンス」を参照してください。

Visual Studio コマンド構文

Visual Studio のコマンドは、[コマンド] ウィンドウ、[イミディエイト] ウィンドウ、または [検索] ボックスに入力できます。 どちらに入力する場合でも、後続の操作が検索またはデバッグではなく、コマンドであることを示す不等号 (>) を使用します。

コマンド構文の詳細については、「引数を使用する Visual Studio コマンド」および「Devenv コマンド ライン スイッチ」を参照してください。

多くのコマンドは、完全なコマンド構文を使う方法と、短縮形やエイリアスを使う方法の 2 種類で記述できます。

完全なコマンド名

完全な構文は完全なコマンド名に基づいています。これらのコマンド名は、[オプション] ダイアログ ボックスの [環境] の下の [キーボード] に一覧表示されています。 ほとんどの場合、完全な構文には IDE のメニュー システム内のコマンドの位置が反映されます。 完全なコマンド名は、以下の構文規則に従います。

  • コマンドのカテゴリ (メニューなど) とコマンド名は、ピリオド (.) で区切ります。

  • メニューに表示されるコマンド名のスペースや区切り記号はすべて削除します。

たとえば、[新しいファイル] ダイアログ ボックスを表示するコマンドは、[オプション] ダイアログ ボックスの [環境] の下の [キーボード] に File コマンドの子として表示されます。 このダイアログ ボックスを表示するには、次のコマンドを [コマンド] ウィンドウ、[イミディエイト] ウィンドウ、または [検索] ボックスに入力し、Enter キーを押します。

>File.NewFile

[新しいファイル] ダイアログ ボックスが表示されて、項目を選択できます。

コマンドのエイリアス

覚えやすいコマンドを作成し、より速く入力できるように、完全なコマンド名に短い名前、つまりエイリアスを付けることができます。 Visual Studio には定義済みのエイリアスが用意されています。 たとえば、[新しいファイル] ダイアログ ボックスを表示するコマンドには、nf という既定のエイリアスがあります。 詳細については、「Visual Studio コマンドの定義済みのエイリアス」を参照してください。

[alias] コマンドを使用して、カスタム エイリアスを作成したり、定義済みエイリアスを変更したりできます。 たとえば、コマンド Edit.MakeUpperCase のエイリアスを作成するには、次のように入力します。

>alias upper Edit.MakeUpperCase

次にエディターでテキストを選択し、[コマンド] ウィンドウ、[イミディエイト] ウィンドウ、または [検索] ボックスで「>upper」と入力すると、テキストはすべて大文字で表示されます。 また、コマンド名とその引数を含むエイリアスも作成できます。

現在のエイリアスの一覧を表示するには、[コマンド] ウィンドウで次のコマンドを入力します。

>alias

引数を使用するコマンド

一部のコマンドでは、ファイル名やスイッチなどの引数を指定してコマンドを実行できます。この場合、ダイアログ ボックスやその他のユーザー インターフェイスは表示されません。 たとえば、コマンド File.NewFile をスイッチなしで入力すると、[新しいファイル] ダイアログ ボックスが表示されます。 また、/t スイッチを付けてコマンドを入力すると、[新しいファイル] ダイアログ ボックスを表示せずに、新規ファイルをテンプレートから作成できます。 "General\Text File" テンプレートに基づいて Mytext.txt という名前の新規ファイルを作成し、このファイルをソース コードエディターで開くコード例を次に示します。

>File.NewFile Mytext /t:"General\Text File" /e:"Source Code (text) Editor"

注意

コマンド引数は、このコマンドで指定されている順番で入力する必要があります。 スイッチとスイッチの引数はどの順番でもかまいません。

コマンドと引数は、以下の構文に従います。

  • コマンド名と引数は、スペースで区切ります。

  • 引数値にスペースが含まれる場合は、引用符で囲む必要があります。

  • カレット (^) 文字をエスケープ文字として使用します。

  • 1 文字の引数の省略形が複数ある場合は、結合できます。 たとえば、/case (/c) と /word (/w) の 1 文字の引数の省略形を結合する場合は、/c /w ではなく、/cw で表すことができます。

コマンド名のスイッチの多くは完全な名前と短い名前があり、これらは置き換えて使用できます。 たとえば、Edit.Find コマンドの /case スイッチは、/c に書き換えることができます。 完全な一覧については、「引数を使用する Visual Studio コマンド」を参照してください。

エスケープ文字

コマンド ラインにカレット (^) 文字があると、その直後の文字は制御文字としてではなくリテラル文字として解釈されます。 したがって、引用符 (")、スペース、先頭のスラッシュ、カレット、その他の任意のリテラル文字をパラメーターまたはスイッチの値に直接埋め込むことができます。ただし、スイッチ名には埋め込むことができません。 次に例を示します。

>Edit.Find ^^t /regex

カレットは、引用符の前後のどちらに置かれた場合でも同じ働きをします。 行の最後の文字がカレットの場合は無視されます。

コマンドのオート コンプリート

[コマンド] ウィンドウ、[イミディエイト] ウィンドウ、および [検索] ボックスでは、コマンド名やエイリアスを入力するときにオート コンプリート機能が働きます。 オート コンプリートでは、コマンドが現在使用できるかどうかにかかわらず、一致するコマンド名とエイリアスがすべて表示されます。 使用できないコマンドを入力または選択すると、"コマンド <コマンド名> は使用できません。" というメッセージが表示され、そのコマンドは無視されます。

国際対応のコマンド名

IDE のローカライズ版では、IDE のネイティブ言語または英語のどちらでもコマンド名を入力できます。 たとえば、フランス語版 IDE では、「File.NewFile」または「Fichier.NouveauFichier」と入力して同じコマンドを実行できます。

マクロ名もコマンド名と同様です。 ローカライズされた名前を使ってマクロを保存することもできますが、Visual Studio の英語版とローカライズ版との互換性を高めるために、マクロの保存には英語名の使用をお勧めします。 なぜなら、英語のコマンドは IDE のすべてのローカライズ版で認識されますが、別の言語にローカライズされたコマンドは IDE のすべてのローカライズ版で認識されるとは限らないからです。

参照

参照

コマンド ウィンドウ

[イミディエイト ウィンドウ]

[検索] ボックス

Visual Studio コマンドの定義済みのエイリアス

引数を使用する Visual Studio コマンド