Visual Studio の Windows Phone 用 SharePoint アプリケーション テンプレートの概要

モバイル アプリケーション開発向け Windows Phone SharePoint Software Development Kit によってインストールされる Visual Studio テンプレートについて確認します。

Windows Phone SharePoint Software Development Kit によってインストールされるテンプレート

開発環境を設定し、Windows Phone SharePoint Software Development Kit (SDK) のインストールが完了すると、次の 2 つの Silverlight for Windows Phone テンプレートが追加され、プロジェクトで使用できるようになります。

  • Windows Phone Empty SharePoint Application テンプレート

  • Windows Phone SharePoint List Application テンプレート

現時点では、これらのテンプレートは C# プロジェクトでのみ使用するように設計されています。 Visual Basic プロジェクトでは使用できません。 ただし、テンプレートは、Visual Studio 2012 および Visual Studio Express 2012 Windows Phone 8 および Visual Studio 2010 および Visual Studio 2010 Express for Windows Phone 7 で使用できます。

注:

Windows Phone SharePoint テンプレートは、Expression Blend の [新しいプロジェクト] メニューには表示されません。 ただし、Visual Studio のショートカット メニューから [Expression Blend で開く] を選択すると、Expression Blend でプロジェクトを編集できます。

これらのテンプレートのいずれかに基づいてプロジェクトを作成する場合、ターゲット Windows Phone プラットフォームを選択するオプションは表示されません。 これらのテンプレートを使用してVisual Studio Express 2012 から作成されたプロジェクトについては、SharePoint に対して 8 つのアプリケーションWindows Phoneターゲットします。これらのテンプレートを使用して Visual Studio 2010 Express から作成されたプロジェクトは、既定で OS バージョン 7.1 Windows Phoneターゲットです。つまり、WMAppManifest.xml ファイル内の Deployment 要素の AppPlatformVersion 属性の値は 7.1 です。


<Deployment xmlns="http://schemas.microsoft.com/windowsphone/2009/deployment" AppPlatformVersion="7.1">

注:

WMAppManifest.xml ファイルの設定の詳細については、「Windows Phoneのアプリケーション マニフェスト ファイル」を参照してください。

Windows Phone Empty SharePoint Application テンプレートに基づいてプロジェクトを開始する

Windows Phone Empty SharePoint Application テンプレートに基づいて Visual Studio プロジェクトを作成する場合、開始プロジェクトは、基本の Windows Phone Application テンプレート (Windows Phone SDK 7.1 によってインストール) を使用して作成されるプロジェクトとほぼ同じですが、Windows Phone SharePoint SDK によってインストールされる DLL (図 1 に示すとおり、Microsoft.SharePoint.Client.Phone.dll、Microsoft.SharePoint.Client.Phone.Auth.UI、および Microsoft.SharePoint.Client.Phone.Runtime.dll) への参照と、その他いくつかの再構成が加わります。

注:

Visual Studio Express 2012 で同じテンプレートが Windows Phone 8 に使用可能です。

図 1. Windows Phone空の SharePoint アプリケーション プロジェクト内のファイル

Windows Phone 対応の空の SharePoint アプリケーション プロジェクト

Windows Phone Empty SharePoint Application テンプレートに基づいて作成したプロジェクトのファイルは、Silverlight Windows Phone アプリケーションの標準ファイルです。 MainPage.xaml ファイルには、アプリケーションのユーザー インターフェイス (UI) を構成する XAML 宣言が含まれています。 分離コード ファイルの MainPage.xaml.cs はプロジェクト内の他の分離コード ファイルと同じく、部分クラスのメカニズムを使用して MainPage.xaml ファイルに関連付けられます (「 分離コードと部分クラス」を参照)。 (「 分離コード クラスと部分クラス」を参照してください)。MainPage.xaml.cs ファイルには、UI の操作とイベントをサポートするロジックを実装するための手続き型コードが含まれています。 App.xaml ファイルは Windows アプリケーション全体を表すファイルです。 関連付けられている分離コード ファイルの App.xaml.cs には、アプリケーションのライフサイクル イベントを処理する手順コードが含まれています。

Windows Phone SharePoint List Application テンプレートに基づいたプロジェクトの開始

Windows Phone SharePoint List Application テンプレートは Windows Phone Empty SharePoint Application テンプレートよりもはるかに高機能なテンプレートです。 このテンプレートは、SharePoint 向けモバイル アプリケーション開発でのよくあるシナリオ (Windows Phone から、SharePoint リストに保存されたデータにアクセスし操作するなど) を扱う Windows Phone アプリケーションの作成を支援するために用意されたものです。 このテンプレートに基づいて Visual Studio プロジェクトを作成する場合は、ウィザードによって必要な構成手順が案内され、SharePoint リスト データの操作が可能な、機能的な Windows Phone アプリケーションに必要なソリューション ファイルが生成されます。 生成されたファイルを使用すると、ほとんど変更を加えることなくアプリケーションを作成し展開することができます。

注:

Visual Studio Express 2012 で同じテンプレートが Windows Phone 8 に使用可能です。

Windows Phone 対応の空の SharePoint アプリケーション プロジェクトのソリューション ファイルについて

Windows Phone SharePoint リスト アプリケーション テンプレートを使用して Visual Studio プロジェクト用に生成されたファイルを図 2 に示します。 (図 2 に示されていない他のアセンブリへの参照 (System.Runtime.Serialization.dllやMicrosoft.Phone.Controls.dllなど) は、Windows Phone Empty SharePoint アプリケーション テンプレートに含まれる参照に追加されます。これらの追加アセンブリでは、SharePoint リスト データの管理と、そのデータを表すビジュアル コントロールがサポートされています)。

図 2. Windows Phone SharePoint リスト アプリケーション プロジェクト内のファイル

Windows Phone の SharePoint List アプリケーション プロジェクト

表 1 はプロジェクト ファイルの説明です。

表 1. SharePoint リスト アプリケーション プロジェクト ファイルのWindows Phone

ファイル 説明
App.xaml
Windows Phone アプリケーション全体を表します。 Application_DeactivatedApplication_Closing などのアプリケーションのライフサイクル イベントのように、アプリケーションに関連する要素の宣言が含まれます (アプリケーション内の個々のページに関連するものではありません)。
App.xaml.cs
App.xaml に関連付けられている分離コード ファイル (プロジェクト内の他の分離コード ファイルの場合と同じく、部分クラスのメカニズムを使用)。 Application_DeactivatedApplication_Closing などのライフサイクル イベントでの操作の処理に必要な手順コードが含まれます。 オフライン (ローカル) のデータ ストレージを管理するには、このファイルにコードを記述します。
ListDataProvider.cs
SharePoint Server 上のデータにアクセスするためのコードが含まれ、アプリケーションの各種のリスト ビューの基礎となるクエリ構文へのアクセスを実現します。
List.xaml
Phone アプリケーションの既定のビュー形式 (SharePoint の [すべてのアイテム] ビュー (または [すべてのタスク]、[すべての連絡先] など) に類似) 用に UI 要素が定義されます。 List.xaml ファイルには、開発者が Windows Phone アプリケーションへの実装を選択したリスト ビューを表示するための PivotItem コントロールなど、アプリケーションのビジュアル要素のプライマリ コンテナーとなる Pivot コントロールが含まれます。
List.xaml.cs
List.xaml に関連付けられている分離コード ファイルです。 [ 新規作成]、[ 更新] など、フォームのボタン用のメソッドおよびハンドラーの実装に必要なコードが含まれます。
DisplayForm.xaml
アプリケーションの [ Display Item] (アイテムの表示) フォーム (ページ) (SharePoint の [ アイテムの表示] フォームに類似) 用の UI 要素が定義されます。 Windows Phone アプリケーションでは、Silverlight Pivot コントロールに含まれる StackPanel コントロールを使用して、縦に積み重ねてフィールドが表示されます。
DisplayForm.xaml.cs
DisplayForm.xaml に関連付けられている分離コード ファイルです。 [ 編集]、[ 削除] など、フォームのボタン用のメソッドおよびハンドラーの実装に必要なコードが含まれます。
EditForm.xaml
Phone アプリケーションの [ アイテムの編集] フォーム (SharePoint の [ アイテムの編集] フォームに類似) 用の UI 要素が定義されます。 [ Display Item] (アイテムの表示) フォームと同じく、 StackPanel コントロールでフィールドが表示されます。
EditForm.xaml.cs
EditForm.xaml に関連付けられている分離コード ファイルです。 [ 送信]、[ キャンセル] など、フォームのボタン用のメソッドおよびハンドラーの実装に必要なコードが含まれます。
NewForm.xaml
Phone アプリケーションの [ 新しいアイテム] フォーム (SharePoint の [ 新しいアイテム] フォームに類似) 用の UI 要素が定義されます。 StackPanel コントロールでフィールドが表示されます。
NewForm.xaml.cs
NewForm.xaml に関連付けられている分離コード ファイルです。 [ 送信]、[ キャンセル] など、フォームのボタン用のメソッドおよびハンドラーの実装に必要なコードが含まれます。
DisplayItemViewModel.cs
DisplayForm.xaml ファイルのデータ ソースとして機能します。
EditItemViewModel.cs
EditForm.xaml ファイルのデータ ソースとして機能します。 このファイルには、リスト アイテムの編集時にユーザーにより入力されたデータを検証するコードを記述します。
ListViewModel.cs
List.xaml ファイルのデータ ソースとして機能します。
NewItemViewModel.cs
NewForm.xaml ファイルのデータ ソースとして機能します。 このファイルには、新しいリスト アイテムの追加時にユーザーにより入力されたデータを検証するコードを記述します。

Windows Phone SharePoint リスト アプリケーション テンプレートを使用したWindows Phone アプリの作成に関する手順の詳細については、「方法: Windows Phone SharePoint リスト アプリを作成する」を参照してください。

関連項目