チュートリアル: 複数のコンピューターを使用するビルド環境の作成

組織内でビルド環境を作成するには、ホスト コンピューターに Visual Studio をインストールし、ビルドに参加できるように各種のファイルおよび設定を別のコンピューターにコピーします。 別コンピューターの方に Visual Studio をインストールする必要はありません。

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このチュートリアルは、次のオペレーティング システムに対して検証済みです。

  • Windows 8 (x86 および x64)
  • Windows 7 Ultimate
  • Windows Server 2008 R2 Standard

このチュートリアルの手順を完了すると、複数コンピューター環境を使用して、次の種類のアプリをビルドできます。

  • Windows 8 SDK を使用する C++ デスクトップ アプリ
  • .NET Framework 4.5 を対象とする Visual Basic または C# のデスクトップ アプリ

次の種類のアプリのビルドには、複数コンピューター環境を使用できません。

  • UWP アプリ。 UWP アプリをビルドするには、ビルド コンピューターに Visual Studio をインストールする必要があります。
  • .NET Framework 4 以前を対象とするデスクトップ アプリ。 これらの種類のアプリをビルドするには、ビルド コンピューターに Visual Studio または .NET 参照アセンブリおよびツール (Windows 7.1 SDK に含まれます) をインストールする必要があります。

必須コンポーネント

.NET デスクトップ開発ワークロードがインストールされた Visual Studio。

コンピューターにソフトウェアをインストールする

最初にホスト コンピューターを設定し、次にビルド コンピューターを設定します。

ホスト コンピューターに Visual Studio をインストールすると、ファイルや設定が作成されます。後でこれらをビルド コンピューターにコピーします。 Visual Studio は x86 または x64 コンピューターにインストールできますが、ビルド コンピューターのアーキテクチャは、ホスト コンピューターのアーキテクチャと一致する必要があります。

  1. ホスト コンピューターに、Visual Studio をインストールします。

  2. ビルド コンピューターに、.NET Framework 4.5 以降をインストールします。 インストールされていることを確認するには、レジストリ サブキー HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\NET Framework Setup\NDP\v4\Full[バージョン] エントリが 4.5 以上の値であることを確認します。

ホスト コンピューターからビルド コンピューターにファイルをコピーする

このセクションでは、特定のファイル、コンパイラ、ビルド ツール、MSBuild の資産、およびレジストリ設定をホスト コンピューターからビルド コンピューターにコピーする操作ついて説明します。 ここに示す手順では、Visual Studio がホスト コンピューターの既定の場所にインストールされていることを想定しています。別の場所にインストールした場合は、手順を適宜調整してください。

  • x86 コンピューターの既定の場所は C:\Program Files\Microsoft Visual Studio です
  • x64 コンピューターの既定の場所は C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio です

Program Files フォルダーの名前が、インストールされているオペレーティング システムによって異なる点に注意してください。 x86 コンピューターでは Program Files、x64 コンピューターでは Program Files (x86) です。 システムのアーキテクチャに関係なく、このチュートリアルでは、Program Files フォルダーを %ProgramFiles% と示します。

注意

ビルド コンピューターでは、関連するファイルをすべて同じドライブに配置する必要があります。 ただし、そのドライブのドライブ文字は、Visual Studio がホスト コンピューターにインストールされているドライブのドライブ文字と異なってもかまいません。 いずれにしても、後でこのドキュメント内で説明するように、レジストリ エントリの作成時にファイルの場所の情報が必要になります。

Windows SDK ファイルをビルド コンピューターにコピーする

  1. Windows SDK for Windows 8 のみがインストールされている場合は、次に示すフォルダーを再帰的にホスト コンピューターからビルド コンピューターにコピーします。

    • %ProgramFiles%\Windows Kits\8.0\bin\

    • %ProgramFiles%\Windows Kits\8.0\Catalogs\

    • %ProgramFiles%\Windows Kits\8.0\DesignTime\

    • %ProgramFiles%\Windows Kits\8.0\include\

    • %ProgramFiles%\Windows Kits\8.0\Lib\

    • %ProgramFiles%\Windows Kits\8.0\Redist\

    • %ProgramFiles%\Windows Kits\8.0\References\

    次に示す他の Windows 8 キットもインストールされている場合:

    • Microsoft Windows アセスメント & デプロイメント キット

    • Microsoft Windows Driver Kit

    • Microsoft Windows ハードウェア認定キット

    これらもインストールされている場合、前の手順で示した %ProgramFiles%\Windows Kits\8.0 フォルダーにファイルがインストールされている可能性があります。また、ライセンス条項によっては、ビルド サーバーでこれらのファイルへのアクセスが許可されない可能性があります。 インストールされているすべての Windows キットについてライセンス条項を調べて、ファイルをビルド コンピューターにコピーできるかどうかを確認します。 ライセンス条項によってビルド サーバーでのアクセスが許可されていない場合は、該当するファイルをビルド コンピューターから削除します。

  2. ホスト コンピューターからビルド コンピューターに、次のフォルダーを再帰的にコピーします。

    • %ProgramFiles%\Microsoft SDKs\Windows\v8.0A\bin\NETFX 4.0 Tools\

    • %ProgramFiles%\Common Files\Merge Modules\

    • %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\VC\

    • %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\Common7\Tools\ProjectComponents\

    • %ProgramFiles%\MSBuild\Microsoft.Cpp\v4.0\v110\

    • %ProgramFiles%\Reference Assemblies\Microsoft\Framework\.NETCore\v4.5\

    • %ProgramFiles%\Reference Assemblies\Microsoft\Framework\.NETFramework\v4.5\

  3. ホスト コンピューターからビルド コンピューターに、次のファイルをコピーします。

    • %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\Common7\IDE\msobj110.dll

    • %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\Common7\IDE\mspdb110.dll

    • %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\Common7\IDE\mspdbcore.dll

    • %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\Common7\IDE\mspdbsrv.exe

    • %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\Common7\IDE\msvcdis110.dll

    • %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\Common7\Tools\makehm.exe

    • %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\Common7\Tools\VCVarsQueryRegistry.bat

    • %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\Common7\Tools\vsvars32.bat

  4. 次に示す Visual C++ ランタイム ライブラリは、ビルド コンピューターで (たとえば自動テストの一部として) ビルド出力を実行する場合にのみ必要です。 これらのファイルは通常、システムのアーキテクチャに応じて %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\VC\redist\x86 または %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\VC\redist\x64 フォルダー内のサブフォルダーに配置されます。 x86 システムの場合は、x86 バイナリを Windows\System32 フォルダーにコピーします。 x64 システムでは、x86 バイナリを Windows\SysWOW64 フォルダーに、x64 バイナリを Windows\System32 フォルダーにコピーします。

    • \Microsoft.VC110.ATL\atl110.dll

    • \Microsoft.VC110.CRT\msvcp110.dll

    • \Microsoft.VC110.CRT\msvcr110.dll

    • \Microsoft.VC110.CXXAMP\vcamp110.dll

    • \Microsoft.VC110.MFC\mfc110.dll

    • \Microsoft.VC110.MFC\mfc110u.dll

    • \Microsoft.VC110.MFC\mfcm110.dll

    • \Microsoft.VC110.MFC\mfcm110u.dll

    • \Microsoft.VC110.MFCLOC\mfc110chs.dll

    • \Microsoft.VC110.MFCLOC\mfc110cht.dll

    • \Microsoft.VC110.MFCLOC\mfc110deu.dll

    • \Microsoft.VC110.MFCLOC\mfc110enu.dll

    • \Microsoft.VC110.MFCLOC\mfc110esn.dll

    • \Microsoft.VC110.MFCLOC\mfc110fra.dll

    • \Microsoft.VC110.MFCLOC\mfc110ita.dll

    • \Microsoft.VC110.MFCLOC\mfc110jpn.dll

    • \Microsoft.VC110.MFCLOC\mfc110kor.dll

    • \Microsoft.VC110.MFCLOC\mfc110rus.dll

    • \Microsoft.VC110.OPENMP\vcomp110.dll

  5. デバッグの実行可能ファイルを実行するテスト用コンピューターの準備」の説明に従って、Debug_NonRedist\x86 フォルダーまたは Debug_NonRedist\x64 フォルダーから次のファイルのみをビルド コンピューターにコピーします。 他のファイルはコピーしないでください。

    • \Microsoft.VC110.DebugCRT\msvcp110d.dll

    • \Microsoft.VC110.DebugCRT\msvcr110d.dll

    • \Microsoft.VC110.DebugCXXAMP\vcamp110d.dll

    • \Microsoft.VC110.DebugMFC\mfc110d.dll

    • \Microsoft.VC110.DebugMFC\mfc110ud.dll

    • \Microsoft.VC110.DebugMFC\mfcm110d.dll

    • \Microsoft.VC110.DebugMFC\mfcm110ud.dll

    • \Microsoft.VC110.DebugOpenMP\vcomp110d.dll

レジストリ設定を作成する

MSBuild 用の設定を構成するには、レジストリ エントリを作成する必要があります。

  1. レジストリ エントリの親フォルダーを特定します。 レジストリ エントリはすべて、同じ親キーの下に作成します。 x86 コンピューターの場合、親キーは HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft です。 x64 コンピューターの場合、親キーは HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Wow6432Node\Microsoft です。 システムのアーキテクチャに関係なく、このチュートリアルでは、親キーを %RegistryRoot% と示します。

    注意

    ホスト コンピューターのアーキテクチャがビルド コンピューターと異なる場合は、各コンピューターで適切な親キーを使用してください。 このことは、エクスポート プロセスを自動化する場合に特に重要です。

    また、ホスト コンピューターで使用しているものと異なるドライブ文字をビルド コンピューターで使用する場合は、レジストリ エントリの値が一致するように必ず変更してください。

  2. 次のレジストリ エントリをビルド コンピューターに作成します。 これらのエントリはすべて、文字列 (レジストリでの種類は "REG_SZ") です。 これらのエントリの値が、ホスト コンピューターの該当するエントリの値と同じになるように設定します。

    • %RegistryRoot%\.NETFramework\v4.0.30319\AssemblyFoldersEx\VCMSBuild Public Assemblies@(Default)

    • %RegistryRoot%\Microsoft SDKs\Windows\v8.0@InstallationFolder

    • %RegistryRoot%\Microsoft SDKs\Windows\v8.0A@InstallationFolder

    • %RegistryRoot%\Microsoft SDKs\Windows\v8.0A\WinSDK-NetFx40Tools@InstallationFolder

    • %RegistryRoot%\Microsoft SDKs\Windows\v8.0A\WinSDK-NetFx40Tools-x86@InstallationFolder

    • %RegistryRoot%\VisualStudio\11.0@Source Directories

    • %RegistryRoot%\VisualStudio\11.0\Setup\VC@ProductDir

    • %RegistryRoot%\VisualStudio\SxS\VC7@FrameworkDir32

    • %RegistryRoot%\VisualStudio\SxS\VC7@FrameworkDir64

    • %RegistryRoot%\VisualStudio\SxS\VC7@FrameworkVer32

    • %RegistryRoot%\VisualStudio\SxS\VC7@FrameworkVer64

    • %RegistryRoot%\VisualStudio\SxS\VC7@11.0

    • %RegistryRoot%\VisualStudio\SxS\VS7@11.0

    • %RegistryRoot%\Windows Kits\Installed Roots@KitsRoot

    • %RegistryRoot%\MSBuild\ToolsVersions\4.0\11.0@VCTargetsPath

    • %RegistryRoot%\MSBuild\ToolsVersions\4.0\11.0@VCTargetsPath10

    • %RegistryRoot%\MSBuild\ToolsVersions\4.0\11.0@VCTargetsPath11

    x64 ビルド コンピューターでは、次のレジストリ エントリも作成し、ホスト コンピューターを参照して設定方法を決定します。

    • %RegistryRoot%\Microsoft SDKs\Windows\v8.0A\WinSDK-NetFx40Tools-x64@InstallationFolder

    ビルド コンピューターが x64 であり MSBuild の 64 ビット バージョンを使用する場合または x64 コンピューターで Team Foundation Server ビルド サービスを使用している場合は、ネイティブの 64 ビット レジストリに次のレジストリ エントリを作成します。 これらのエントリの設定方法を決定するには、ホスト コンピューターを参照してください。

    • HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\VisualStudio\11.0\Setup\VS@ProductDir

    • HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\MSBuild\ToolsVersions\4.0\11.0@VCTargetsPath

    • HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\MSBuild\ToolsVersions\4.0\11.0@VCTargetsPath10

    • HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\MSBuild\ToolsVersions\4.0\11.0@VCTargetsPath11

ビルド コンピューターで環境変数を設定する

ビルド コンピューターで MSBuild を使用するには、PATH 環境変数を設定する必要があります。 vcvarsall.bat を使用して変数を設定することも、手動で構成することもできます。

vcvarsall.bat を使用して環境変数を設定する

ビルド コンピューターでコマンド プロンプト ウィンドウを開き、%Program Files%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\VC\vcvarsall.bat を実行します。 使用するツールセット (x86、ネイティブ x64、x64 クロス コンパイラ) を指定するには、コマンド ライン引数を使用します。 コマンド ライン引数を指定しなかった場合は、x86 のツールセットが使用されます。

次の表では、vcvarsall.bat でサポートされている引数を説明しています。

vcvarsall.bat 引数 コンパイラ ビルド コンピューターのアーキテクチャ ビルド出力のアーキテクチャ
x86 (既定) 32 ビット ネイティブ x86、x64 x86
x86_amd64 x64 クロス x86、x64 X64
amd64 x64 ネイティブ X64 X64

vcvarsall.bat が正常に実行された (エラー メッセージが表示されない) 場合は、次の手順をスキップして、このドキュメントの「ビルド コンピューターのグローバル アセンブリ キャッシュ (GAC) に MSBuild アセンブリをインストールする」に進むことができます。

手動で環境変数を設定する

  1. 手動でコマンド ライン環境を構成するには、次のパスを PATH 環境変数に追加します。

    • %Program Files%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\Common7\IDE
  2. 必要に応じて、ソリューションのビルド時に MSBuild を使用しやすくなるように、次のパスも PATH 環境変数に追加することができます。

    ネイティブ 32 ビットの MSBuild を使用する場合は、次のパスを PATH 変数に追加します。

    • %Program Files%\Microsoft SDKs\Windows\v8.0A\bin\NETFX 4.0 Tools

    • %windir%\Microsoft.NET\Framework\v4.0.30319

    ネイティブ 64 ビットの MSBuild を使用する場合は、次のパスを PATH 変数に追加します。

    • %Program Files%\Microsoft SDKs\Windows\v8.0A\bin\NETFX 4.0 Tools\x64

    • %windir%\Microsoft.NET\Framework64\v4.0.30319

ビルド コンピューターのグローバル アセンブリ キャッシュ (GAC) に MSBuild アセンブリをインストールする

MSBuild を使用するには、ビルド コンピューターの GAC にいくつかの追加のアセンブリをインストールする必要があります。

  1. ホスト コンピューターからビルド コンピューターに次のアセンブリをコピーします。 これらは GAC にインストールされるため、ビルド コンピューター上のコピー先の場所は重要ではありません。

    • %ProgramFiles%\MSBuild\Microsoft.Cpp\v4.0\v110\Microsoft.Build.CPPTasks.Common.v110.dll

    • %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\Common7\IDE\CommonExtensions\Microsoft\VC\Project\Microsoft.VisualStudio.Project.VisualC.VCProjectEngine.dll

    • %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\<バージョン>\<エディション>\Common7\IDE\PublicAssemblies\Microsoft.VisualStudio.VCProjectEngine.dll

  2. アセンブリを GAC にインストールするには、ビルド コンピューターで gacutil.exe を探します。通常、これは %ProgramFiles%\Microsoft SDKs\Windows\v8.0A\bin\NETFX 4.0 Tools\ にあります。 このフォルダーが見つからない場合は、このチュートリアルの「ホスト コンピューターからビルド コンピューターにファイルをコピーする」に記載されている手順を繰り返します。

    管理者権限でコマンド プロンプト ウィンドウを開き、ファイルごとに次のコマンドを実行します。

    gacutil -i <file>

    注意

    GAC へのアセンブリのインストールを完了するために、再起動が必要になる場合があります。

プロジェクトをビルドする

Azure Pipelines を使用して Visual Studio プロジェクトとソリューションをビルドできます。または、コマンド ライン上でビルドすることもできます。 Azure Pipelines を使用してプロジェクトをビルドすると、システムのアーキテクチャに対応する MSBuild 実行可能ファイルが起動されます。 コマンド ラインでは、32 ビット MSBuild または 64 ビット MSBuild を使用できます。MSBuild のアーキテクチャは、PATH 環境変数を設定するか、アーキテクチャ固有の MSBuild 実行可能ファイルを直接呼び出すことによって選択できます。

コマンド プロンプトで msbuild.exe を使用するには、次のコマンドを実行します (solution.sln は、ソリューションの名前のプレースホルダーです)。

msbuildsolution.sln

コマンド ラインで MSBuild を使用する方法については、コマンド ライン リファレンスに関するページをご覧ください。

ソース管理にチェックインできるようにビルド環境を作成する

さまざまなコンピューターに配置できる、GAC へのファイルのインストールやレジストリ設定の変更を必要としないビルド環境を作成できます。 次の手順は、これを実現する方法の 1 つです。 ビルド環境ごとの特性に合わせて、手順を調整してください。

注意

ビルド時に tracker.exe によるエラーが発生しないように、インクリメンタル ビルドを無効にする必要があります。 インクリメンタル ビルドを無効にするには、次のビルド パラメーターを設定します。

msbuildsolution.sln/p:TrackFileAccess=false

  1. ホスト コンピューターに Depot ディレクトリを作成します。

    ここに示す手順では、このディレクトリを %Depot% と示します。

  2. このチュートリアルの「ホスト コンピューターからビルド コンピューターにファイルをコピーする」の説明に従って、ディレクトリとファイルをコピーします。ただし、コピー先は、先ほど作成した %Depot% ディレクトリ内とします。 たとえば、 %ProgramFiles%\Windows Kits\8.0\bin からのコピー先は %Depot%\Windows Kits\8.0\bin になります。

  3. %Depot% にファイルを貼り付けたら、次の変更を行います。

    • %Depot%\MSBuild\Microsoft.Cpp\v4.0\v110\Microsoft.CPP.Targets、\Microsoft.Cpp.InvalidPlatforms.targets\、\Microsoft.cppbuild.targets\、および \Microsoft.CppCommon.targets\ で、

      AssemblyName="Microsoft.Build.CppTasks.Common.v110, Version=4.0.0.0, Culture=neutral, PublicKeyToken=b03f5f7f11d50a3a"

      から

      AssemblyFile="$(VCTargetsPath11)Microsoft.Build.CppTasks.Common.v110.dll".

      変更前の名前は、GAC にインストールするアセンブリに依存しています。

    • %Depot% \MSBuild\Microsoft.Cpp\v4.0\v110\Microsoft.CPPClean.Targets で、

      AssemblyName="Microsoft.Build.CppTasks.Common.v110, Version=4.0.0.0, Culture=neutral, PublicKeyToken=b03f5f7f11d50a3a"

      から

      AssemblyFile="$(VCTargetsPath11)Microsoft.Build.CppTasks.Common.v110.dll".

  4. .props ファイル (例: Partner.AutoImports.props) を作成し、プロジェクトが含まれるフォルダーのルートに配置します。 このファイルは、さまざまなリソースを検索するために MSBuild によって使用される変数の設定用に使用されます。 このファイルで設定されていない変数は、レジストリ値に依存する他の .props ファイルおよび .targets ファイルによって設定されます。 ここではレジストリ値を設定しないため、これらの変数が空になり、ビルドは失敗します。 代わりに、Partner.AutoImports.props に次のコードを追加します。

    <?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
    <!-- This file must be imported by all project files at the top of the project file. -->
    <Project ToolsVersion="4.0"
    xmlns="http://schemas.microsoft.com/developer/msbuild/2003">
    <PropertyGroup>
    <VCTargetsPath>$(DepotRoot)MSBuild\Microsoft.Cpp\v4.0\v110\</VCTargetsPath>
    <VCTargetsPath11>$(DepotRoot)MSBuild\Microsoft.Cpp\v4.0\v110\</VCTargetsPath11>
    <MSBuildExtensionsPath>$(DepotRoot)MSBuild</MSBuildExtensionsPath>
    <MSBuildExtensionsPath32>$(DepotRoot)MSBuild</MSBuildExtensionsPath32>
    <VCInstallDir_110>$(DepotRoot)Microsoft Visual Studio\2017\Enterprise\VC\</VCInstallDir_110>
    <VCInstallDir>$(VCInstallDir_110)</VCInstallDir>
    <WindowsKitRoot>$(DepotRoot)Windows Kits\</WindowsKitRoot>
    <WindowsSDK80Path>$(WindowsKitRoot)</WindowsSDK80Path>
    <WindowsSdkDir_80>$(WindowsKitRoot)8.0\</WindowsSdkDir_80>
    <WindowsSdkDir>$(WindowsSDKDir_80)</WindowsSdkDir>
    <WindowsSdkDir_80A>$(DepotRoot)Microsoft SDKs\Windows\v8.0A\</WindowsSdkDir_80A>
    </PropertyGroup>
    </Project>
    
  5. 各プロジェクト ファイル内の先頭で、<Project Default Targets...> 行の後に、次の行を追加します。

    <Import Project="$([MSBuild]::GetDirectoryNameOfFileAbove($(MSBuildThisFileDirectory), Partner.AutoImports.props))\Partner.AutoImports.props"/>
    
  6. コマンド ライン環境を次のように変更します。

    • Set Depot=location of the Depot directory that you created in step 1

    • Set path=%path%;location of MSBuild on the computer;%Depot%\Windows\System32;%Depot%\Windows\SysWOW64;%Depot%\Microsoft Visual Studio 16.0\Common7\IDE\

      ネイティブ 64 ビットのビルドの場合は、64 ビット版の MSBuild が指定されるように調整します。