サイトの機能

適用対象: Windows Server 2022、Windows Server 2019、Windows Server 2016、Windows Server 2012 R2、Windows Server 2012

Windows Server 2008 では、レプリケーションのルーティング、クライアント アフィニティ、システム ボリューム (SYSVOL) のレプリケーション、分散ファイル システムの名前空間 (DFSN)、サービスの場所など、さまざまな目的でサイト情報を使用します。

レプリケーションのルーティング

Active Directory Domain Services (AD DS) は、マルチマスター、ストアアンドフォワード方式のレプリケーションを使用します。 ドメイン コントローラーは、ディレクトリの変更を 2 番目のドメイン コントローラーに伝達し、2 番目のコントローラーは 3 番目のドメイン コントローラーに伝達し、以下同様にすべてのドメイン コントローラーが変更を受信するまで伝達していきます。 レプリケーションの待機時間の短縮とトラフィックの削減のバランスを最大限に高めるために、サイト トポロジは、サイト内で発生するレプリケーションとサイト間で発生するレプリケーションを区別することによって、Active Directory のレプリケーションを制御します。

サイト内では、レプリケーションは高速化のために最適化され、データの更新によってレプリケーションがトリガーされます。データは、データ圧縮に必要なオーバーヘッドなしで送信されます。 反対に、サイト間のレプリケーションは、ワイド エリア ネットワーク (WAN) リンク経由の転送コストを最小限に抑えるために圧縮されます。 サイト間でレプリケーションが実行されると、各サイトのドメインごとに 1 つのドメイン コントローラーが、ディレクトリの変更を収集して保存し、スケジュールされた時刻に別のサイトのドメイン コントローラーに伝達します。

クライアント アフィニティ

ドメイン コントローラーは、サイト情報を使用して、クライアントとして最も近いサイト内に存在するドメイン コントローラーについて Active Directory のクライアントに通知します。 たとえば、シアトル サイトのサイトの所属を知らないクライアントがアトランタ サイトのドメイン コントローラーに接続しているとします。 クライアントの IP アドレスに基づいて、アトランタのドメイン コントローラーは、クライアントが実際にどのサイトからのものであるかを判断し、サイト情報をクライアントに送り返します。 また、ドメイン コントローラーは、選択されたドメイン コントローラーが最も近いコントローラーであるかどうかをクライアントに通知します。 クライアントは、アトランタのドメイン コントローラーによって提供されたサイト情報をキャッシュし、サイト固有のサービス (SRV) リソース レコード (AD DS のドメイン コントローラーを特定するために使用されるドメイン ネーム システム (DNS) リソース レコード) を照会して、同じサイト内のドメイン コントローラーを検出します。

同じサイト内のドメイン コントローラーを見つけることにより、クライアントは WAN リンク経由の通信を回避します。 ドメイン コントローラーがクライアント サイトに存在しない場合、他の接続されたサイトと比べて接続コストが最も低いドメイン コントローラーが、ドメイン コントローラーがないサイトで自己アドバタイズします (DNS にサイト固有のサービス (SRV) リソース レコードを登録します)。 DNS で公開されているドメイン コントローラーは、サイト トポロジによって定義されている最も近いサイトからのコントローラーです。 このプロセスにより、すべてのサイトで認証用の優先ドメイン コントローラーが使用されるようになります。

ドメイン コントローラーを検索するプロセスの詳細については、「Active Directory コレクション」をご覧ください。

SYSVOL レプリケーション

SYSVOL は、ドメイン内の各ドメイン コントローラー上に存在する、ファイル システム内のフォルダーのコレクションです。 SYSVOL フォルダーは、ドメイン全体にレプリケートする必要があるファイル (グループ ポリシー オブジェクト (GPO)、スタートアップとシャットダウンのスクリプト、ログオンとログオフのスクリプトなど) の既定の Active Directory の場所を提供します。 Windows Server 2008 では、ファイル レプリケーション サービス (FRS) または分散ファイル システム レプリケーション (DFSR) を使用して、SYSVOL フォルダーに加えられた変更を、あるドメイン コントローラーから他のドメイン コントローラーにレプリケートできます。 FRS および DFSR は、サイト トポロジの設計時に作成したスケジュールに従って、これらの変更をレプリケートします。

DFSN

DFSN は、サイト情報を使用して、サイト内の要求されたデータをホストしているサーバーにクライアントを送信します。 DFSN がクライアントと同じサイト内にデータのコピーを見つけていない場合、DFSN は AD DS のサイト情報を使用して、クライアントに最も近い DFSN 共有データを持つファイル サーバーを特定します。

サービスの場所

AD DS のファイル サービスや印刷サービスなどのサービスを公開することにより、Active Directory クライアントは、同じサイト内または最も近いサイト内で要求されたサービスを見つけることができます。 印刷サービスでは、AD DS に格納されている場所の属性を使用して、ユーザーが正確な場所を知らなくても場所でプリンターを参照できるようにします。 プリント サーバーの設計と展開の詳細については、「プリント サーバーの設計と展開 」をご覧ください。