深度バッファーのデバイス リソースの作成
シャドウ ボリュームの深度のテストをサポートするために必要な Direct3D デバイス リソースを作成する方法について説明します。 「チュートリアル: Direct3D 11 の深度バッファーを使ったシャドウ ボリュームの実装」のパート 1 です。
必要なリソース
シャドウ ボリュームの深度マップをレンダリングするには、次の Direct3D デバイス依存リソースが必要です。
- 深度マップのリソース (バッファー)
- リソースの深度ステンシル ビューとシェーダー リソース ビュー
- 比較サンプラーの状態オブジェクト
- ライトの POV マトリックスの定数バッファー
- シャドウ マップをレンダリングするためのビューポート (通常は正方形のビューポート)
- 前面のカリングを有効にするためのレンダリングの状態オブジェクト
- レンダリングの状態オブジェクトをまだ使っていない場合は、背面のカリングに戻るために、このオブジェクトも必要になります。
これらのリソースの作成をデバイス依存リソースの作成ルーチンに含める必要があることに注意してください。そうすれば、新しいデバイス ドライバーがインストールされたり、別のグラフィックス アダプターに接続されているモニターにユーザーがアプリを移動したりした場合などに、レンダラーがデバイス依存リソースを再作成できます。
サポートされている機能
深度マップを作成する前に、Direct3D デバイスで CheckFeatureSupport メソッドを呼び出し、D3D11_FEATURE_D3D9_SHADOW_SUPPORT を要求して、D3D11_FEATURE_DATA_D3D9_SHADOW_SUPPORT 構造体を提供します。
D3D11_FEATURE_DATA_D3D9_SHADOW_SUPPORT isD3D9ShadowSupported;
ZeroMemory(&isD3D9ShadowSupported, sizeof(isD3D9ShadowSupported));
pD3DDevice->CheckFeatureSupport(
D3D11_FEATURE_D3D9_SHADOW_SUPPORT,
&isD3D9ShadowSupported,
sizeof(D3D11_FEATURE_D3D9_SHADOW_SUPPORT)
);
if (isD3D9ShadowSupported.SupportsDepthAsTextureWithLessEqualComparisonFilter)
{
// Init shadow map resources
この機能がサポートされていない場合は、サンプル比較関数を呼び出すシェーダー モデル 4 レベル 9_x 向けにコンパイルされたシェーダーを読み込まないようにしてください。 この機能がサポートされない場合、GPU がレガシ デバイスであり、ドライバーが更新されていないため WDDM 1.2 以上がサポートされないというケースがほとんどです。 デバイスが機能レベル 10_0 以上をサポートしている場合は、代わりにシェーダー モデル 4_0 向けにコンパイルされたサンプル比較を読み込むことができます。
深度バッファーの作成
まず、高精度深度形式の深度マップを作成してください。 最初に、一致するシェーダー リソース ビュー プロパティを設定します。 デバイス メモリの不足やハードウェアでサポートされない形式などが原因でリソースの作成が失敗した場合は、低精度形式を試して、照合するプロパティを変更してください。
中程度の解像度の Direct3D 機能レベル 9_1 デバイスでレンダリングする場合など、低精度の深度形式だけが必要な場合は、この手順はオプションです。
D3D11_TEXTURE2D_DESC shadowMapDesc;
ZeroMemory(&shadowMapDesc, sizeof(D3D11_TEXTURE2D_DESC));
shadowMapDesc.Format = DXGI_FORMAT_R24G8_TYPELESS;
shadowMapDesc.MipLevels = 1;
shadowMapDesc.ArraySize = 1;
shadowMapDesc.SampleDesc.Count = 1;
shadowMapDesc.BindFlags = D3D11_BIND_SHADER_RESOURCE | D3D11_BIND_DEPTH_STENCIL;
shadowMapDesc.Height = static_cast<UINT>(m_shadowMapDimension);
shadowMapDesc.Width = static_cast<UINT>(m_shadowMapDimension);
HRESULT hr = pD3DDevice->CreateTexture2D(
&shadowMapDesc,
nullptr,
&m_shadowMap
);
次に、リソース ビューを作成します。 深度ステンシル ビューで mip スライスを 0 に設定し、シェーダー リソース ビューで mip レベルを 1 に設定します。 両方とも TEXTURE2D のテクスチャ ディメンションを持ち、一致する DXGI_FORMAT を使う必要があります。
D3D11_DEPTH_STENCIL_VIEW_DESC depthStencilViewDesc;
ZeroMemory(&depthStencilViewDesc, sizeof(D3D11_DEPTH_STENCIL_VIEW_DESC));
depthStencilViewDesc.Format = DXGI_FORMAT_D24_UNORM_S8_UINT;
depthStencilViewDesc.ViewDimension = D3D11_DSV_DIMENSION_TEXTURE2D;
depthStencilViewDesc.Texture2D.MipSlice = 0;
D3D11_SHADER_RESOURCE_VIEW_DESC shaderResourceViewDesc;
ZeroMemory(&shaderResourceViewDesc, sizeof(D3D11_SHADER_RESOURCE_VIEW_DESC));
shaderResourceViewDesc.ViewDimension = D3D11_SRV_DIMENSION_TEXTURE2D;
shaderResourceViewDesc.Format = DXGI_FORMAT_R24_UNORM_X8_TYPELESS;
shaderResourceViewDesc.Texture2D.MipLevels = 1;
hr = pD3DDevice->CreateDepthStencilView(
m_shadowMap.Get(),
&depthStencilViewDesc,
&m_shadowDepthView
);
hr = pD3DDevice->CreateShaderResourceView(
m_shadowMap.Get(),
&shaderResourceViewDesc,
&m_shadowResourceView
);
比較の状態の作成
ここで、比較サンプラーの状態オブジェクトを作成します。 機能レベル 9_1 では D3D11_COMPARISON_LESS_EQUAL のみがサポートされます。 フィルタリングの選択肢について詳しくは、「ハードウェアの範囲でのシャドウ マップのサポート」をご覧ください。シャドウ マップの高速化のために、ポイント フィルタリングを選ぶこともできます。
D3D11_TEXTURE_ADDRESS_BORDER アドレス モードを指定できます。これは、機能レベル 9_1 のデバイスで機能します。 これは、深度のテストの実行前に、ピクセルがライトの視錐台内にあるかどうかをテストしないピクセル シェーダーに適用されます。 各境界線に 0 または 1 を指定することで、ライトの視錐台の外にあるピクセルが深度テストにパスするかどうかを制御できます。結果的に、ライトに照らされているか、シャドウ内にあるかを制御できます。
機能レベル 9_1 では、MinLOD を 0 に設定し、MaxLOD を D3D11_FLOAT32_MAX に設定し、MaxAnisotropy を 0 に設定する必要があります。
D3D11_SAMPLER_DESC comparisonSamplerDesc;
ZeroMemory(&comparisonSamplerDesc, sizeof(D3D11_SAMPLER_DESC));
comparisonSamplerDesc.AddressU = D3D11_TEXTURE_ADDRESS_BORDER;
comparisonSamplerDesc.AddressV = D3D11_TEXTURE_ADDRESS_BORDER;
comparisonSamplerDesc.AddressW = D3D11_TEXTURE_ADDRESS_BORDER;
comparisonSamplerDesc.BorderColor[0] = 1.0f;
comparisonSamplerDesc.BorderColor[1] = 1.0f;
comparisonSamplerDesc.BorderColor[2] = 1.0f;
comparisonSamplerDesc.BorderColor[3] = 1.0f;
comparisonSamplerDesc.MinLOD = 0.f;
comparisonSamplerDesc.MaxLOD = D3D11_FLOAT32_MAX;
comparisonSamplerDesc.MipLODBias = 0.f;
comparisonSamplerDesc.MaxAnisotropy = 0;
comparisonSamplerDesc.ComparisonFunc = D3D11_COMPARISON_LESS_EQUAL;
comparisonSamplerDesc.Filter = D3D11_FILTER_COMPARISON_MIN_MAG_MIP_POINT;
// Point filtered shadows can be faster, and may be a good choice when
// rendering on hardware with lower feature levels. This sample has a
// UI option to enable/disable filtering so you can see the difference
// in quality and speed.
DX::ThrowIfFailed(
pD3DDevice->CreateSamplerState(
&comparisonSamplerDesc,
&m_comparisonSampler_point
)
);
レンダリングの状態の作成
次に、前面のカリングを有効にするために使用できるレンダリングの状態を作成します。 機能レベル 9_1 のデバイスの場合、DepthClipEnable を true に設定する必要があります。
D3D11_RASTERIZER_DESC drawingRenderStateDesc;
ZeroMemory(&drawingRenderStateDesc, sizeof(D3D11_RASTERIZER_DESC));
drawingRenderStateDesc.CullMode = D3D11_CULL_BACK;
drawingRenderStateDesc.FillMode = D3D11_FILL_SOLID;
drawingRenderStateDesc.DepthClipEnable = true; // Feature level 9_1 requires DepthClipEnable == true
DX::ThrowIfFailed(
pD3DDevice->CreateRasterizerState(
&drawingRenderStateDesc,
&m_drawingRenderState
)
);
背面のカリングを有効にするために使用できるレンダリングの状態を作成します。 レンダリング コードで既に背面のカリングを有効にしている場合は、この手順を省略できます。
D3D11_RASTERIZER_DESC shadowRenderStateDesc;
ZeroMemory(&shadowRenderStateDesc, sizeof(D3D11_RASTERIZER_DESC));
shadowRenderStateDesc.CullMode = D3D11_CULL_FRONT;
shadowRenderStateDesc.FillMode = D3D11_FILL_SOLID;
shadowRenderStateDesc.DepthClipEnable = true;
DX::ThrowIfFailed(
pD3DDevice->CreateRasterizerState(
&shadowRenderStateDesc,
&m_shadowRenderState
)
);
定数バッファーの作成
ライトの位置からのレンダリングのために定数バッファーを忘れずに作成してください。 シェーダーにライトの位置を指定するために、この定数バッファーを使うこともできます。 ポイント ライトには遠近投影マトリックスを使い、指向性ライト (太陽光など) には正投影マトリックスを使います。
DX::ThrowIfFailed(
m_deviceResources->GetD3DDevice()->CreateBuffer(
&viewProjectionConstantBufferDesc,
nullptr,
&m_lightViewProjectionBuffer
)
);
定数バッファーにデータを入力します。 定数バッファーは初期化中に一度更新し、前のフレームからライトの値が変更された場合にもう一度更新します。
{
XMMATRIX lightPerspectiveMatrix = XMMatrixPerspectiveFovRH(
XM_PIDIV2,
1.0f,
12.f,
50.f
);
XMStoreFloat4x4(
&m_lightViewProjectionBufferData.projection,
XMMatrixTranspose(lightPerspectiveMatrix)
);
// Point light at (20, 15, 20), pointed at the origin. POV up-vector is along the y-axis.
static const XMVECTORF32 eye = { 20.0f, 15.0f, 20.0f, 0.0f };
static const XMVECTORF32 at = { 0.0f, 0.0f, 0.0f, 0.0f };
static const XMVECTORF32 up = { 0.0f, 1.0f, 0.0f, 0.0f };
XMStoreFloat4x4(
&m_lightViewProjectionBufferData.view,
XMMatrixTranspose(XMMatrixLookAtRH(eye, at, up))
);
// Store the light position to help calculate the shadow offset.
XMStoreFloat4(&m_lightViewProjectionBufferData.pos, eye);
}
context->UpdateSubresource(
m_lightViewProjectionBuffer.Get(),
0,
NULL,
&m_lightViewProjectionBufferData,
0,
0
);
ビューポートの作成
シャドウ マップにレンダリングするための個別のビューポートが必要です。 ビューポートはデバイス ベースのリソースではありません。コードの別の場所で自由に作成できます。 シャドウ マップと同時にビューポートを作成すると、ビューポートのサイズとシャドウ マップのサイズの整合性を保つのが簡単になります。
// Init viewport for shadow rendering
ZeroMemory(&m_shadowViewport, sizeof(D3D11_VIEWPORT));
m_shadowViewport.Height = m_shadowMapDimension;
m_shadowViewport.Width = m_shadowMapDimension;
m_shadowViewport.MinDepth = 0.f;
m_shadowViewport.MaxDepth = 1.f;
このチュートリアルの次のパートでは、深度バッファーへのレンダリングによってシャドウ マップを作成する方法について説明します。
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