Dynamics CRM 2014 年春/SP1 サービスモジュールの新機能 その 3 タイマーコントロール

みなさん、こんにちは。

今回は前回の続きで、タイマーコントロールについて紹介します。まだ
前回の記事を ご覧になっていない場合は、以下リンクよりご参照ください。

Dynamics CRM 2014 年春/SP1 サービスモジュールの新機能 その 1 サービスレベル契約
Dynamics CRM 2014 年春/SP1 サービスモジュールの新機能 その 2 権利

タイマーコントロール

SLA の機能をより便利に使うために、タイマーコントロールが提供されて
います。タイマーコントロールはフォーム上に配置するコントロールで
SLA の状況をわかりやすく表示します。

タイマーコントロールの設置

まず今回のシナリオです。

・SLA に対する残り時間をフォーム上に表示する
・最初の応答の SLA 状態が非準拠になった場合、警告とみなす
・サポート案件をキャンセルした場合、タイマーの処理はやめる
・初回応答を行ったと認識した時点で成功と認識する

早速フォームにタイマーコントロールを配置してみます。

1. 設定 | カスタマイズ | システムのカスタマイズを選択します。

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2. エンティティ | サポート案件 | フォームを選択します。

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3. サポート案件フォームを開きます。

4. 適用できる SLA セクションを選択して、挿入タブより Timer を
クリックします。

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5. 名前をラベルに任意の文字を表示します。

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6. タイマーが参照するフィールドを指定します。今回は最初の応答期限を
表示したいので、最初の応答者 (※誤訳のため本来は最初の応答期限) を
選択します。

7. 成功条件、警告条件、失敗条件をそれぞれフィールドと値の組み合わせ
で指定します。今回はシナリオに従って、以下のような組み合わせを指定
しました。

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8. OK をクリックします。

9. タイマーコントロールのすぐ下に「最初の応答の SLA の状態」フィールド
を配置して、フォームを保存して公開します。

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動作確認

この時点で一旦動作を確認してみます。

1. サービス | サポート案件をクリックします。

2. 新規サポート案件ボタンをクリックします。

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3. 顧客より「アドベンチャーワークス (サンプル)」を選択し、
前回作成した権利を指定します。またサポート案件タイトルを
入力します。

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4. 優先度を任意の値にして上書き保存します。ここでは標準のままとしました。

5. SLA に初回応答期限が設定され、タイマーが正しい残り時間を表示すること
を確認します。

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6. 次に警告状態を確認するため、最初の応答の SLA フィールドの値の値を
処理中から「ほぼ非準拠」に設定します。設定を変更した瞬間にタイマー
コントロールの色が黄色になることを確認します。

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7. 次に成功状態を確認するため、詳細タブにある「送信された最初の
対応」フィールドを「いいえ」から「はい」に変更します。設定を
変更した瞬間にタイマーコントロールが成功となることを確認します。

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8. 最後のキャンセル状態を確認するため、サポート案件の取り消し
ボタンをクリックして、取り消し状態にします。

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9. タイマーコントロールが取り消しになることを確認します。

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10. 尚、期限を過ぎた場合は以下のように赤色で表示されます。

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SLA のアクションとの連携

タイマーコントロールは上記のように、各フィールドの値によって、状態
を変更することができますが、手動でフィールド値を更新する事は現実的
ではないため、ここでは SLA のアクションとの連携方法を紹介します。

1. 設定 | サービスの管理 | サービスレベル契約を選択します。

2. 以前作成したプレミア契約レコードを開きます。

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3. 非アクティブ化ボタンをクリックして、一旦非アクティブ状態にします。

4. 最初の応答期限 - 優先度高の SLA の詳細レコードを開きます。

5. 警告のアクションとして、レコードの更新アクションを追加します。

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6. サポート案件の「最初の応答の SLA の状態」を「ほぼ非準拠」に指定します。

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7. 同様に失敗のアクションにもレコードの更新アクションを追加して、サポート
案件の「最初の応答の SLA の状態」を「非準拠」に指定します。

8. 他の SLA 詳細でも同様のアクションを追加して、すべて保存します。

9. 最後に SLA をアクティブ化します。

これにより警告時間を過ぎた際のアクションで、自動的に任意のフィールド
の値を更新し、タイマーコントロールの状態と連動させることが可能です。

その他の考慮

上記手順では SLA が警告状態、失敗状態の際のアクションを定義しましたが、
成功の状態は別途スクリプトやワークフローで設定する必要があります。何を
もって初回応答を行ったと考えるか、またそのオペレーションよって実装は
変わりますが、「送信された最初の応答」を変更した場合に、「最初の応答の
SLA の状態」も必要に応じて更新するように注意してください。

また今回タイマーコントロールは SLA 機能と連動した形で紹介しましたが、
任意のエンティティで利用できますので、さまざまなシナリオに利用できます。
是非色々お試しください。

次回は顧客サービススケジュールと祝日スケジュールを紹介します。

- 中村 憲一郎