よくある読み間違い

みなさんからお送りいただいている「誤変換レポート」は、 Microsoft IME の変換精度を向上していくためにとても役立っています。IME 2010 向けの辞書アップデートでも誤変換レポートで報告件数の多い誤変換について修正しています。ただ、修正候補のデータのなかには、誤った読みから変換しようとしているために期待する変換結果が得られていないケースもときどき含まれています。今回は、そのような読み間違いのケースから報告件数の多いものをいくつかご紹介します。

  • 淡黄色(たんこうしょく)
    「黄」を「こう」と読むか「おう」と読むかは単語によって異なります。両方の読み方があることもあります。「淡黄色」を「たんおうしょく」で入力しようとされる方が多いです。「黄色」を「おうしょく」と読むことが多いからかもしれません。

 

  • 甲賀市(こうかし)
    滋賀県甲賀市は「こうかし」と読むのですが、「こうがし」で変換しようとする方が結構いらっしゃいます。地名の読み間違いではほかに「二子玉川(ふたこたまがわ)」を「ふたごたまがわ」で入力しようとするケースが多く見受けられます。二子玉川の「二子」の由来でもある川崎市の「二子」は「ふたご」と読むのでまぎらわしいようです。

 

  • 施策(しさく)
    「しさく」は「試作」「思索」など同音異義語が多いので、曖昧さを解消するために口頭では「せさく」と言われるケースもあるようですが、正しい読みは「しさく」です。法律関係では「施行(しこう)」を「執行」と区別するために「せこう」と言ったり、工事関係では「施工(しこう)」を「施行」と区別するためにやはり「せこう」と言ったりすることがあるようです。これらはだいぶ一般的になってきていますね。

 

  • 近付く(ちかづく)
    「ちかずく」で変換しようとするケースが多く報告されています。「づ」と「ず」は発音が同じなのでついつい打ち間違ってしまうこともあるかと思います。「近々(ちかぢか)」を「ちかじか」で入れようとしているケースも多いです。これは「ぢ」と「じ」ですね。 IME のプロパティの「オートコレクト」タブで『「じ」→「ぢ」/「ず」→「づ」変換』をチェックしておくと「ちかずく」「ちかじか」からでも変換できるようになります。

 

  • 片開き(かたびらき)
    「かたひらき」と入れて変換に失敗するケースがあるようです。連濁するかしないかは地方によっても異なったりするのでどこまで許容するかは難しいところです。ほかに「紐付け(ひもづけ)」を「ひもつけ」、「黒酢(くろず)」を「くろす」などといったケースが多いです。

 

  • うろ覚え(うろおぼえ)
    これは読み間違いではないですが、「うるおぼえ」と入れている方が少なくないです。

今回ご紹介したものは現時点で IME 開発チームが読み間違いではないかと判断しているものです。言語は生き物ですから、今後これらの読み方が許容されて IME の辞書に登録されるようになることもあるかもしれません。そういった誤変換以外のものも含めて、みなさんからの「誤変換レポート」はとても貴重で有益な情報です。引き続き誤変換レポートの送信をお願いいたします。

 

いま誤変換レポートを送信していない方や送信しているかわからない方で、送信してみようと思った方はこちらをご参照ください。

 

大附 克年