Exchange Server 2003 でのメモリの使用量の最適化

[アーティクル]
10/25/2013

Microsoft Exchange Server 2003 を実行しているサーバーに 1 GB 以上の物理メモリ (RAM) を搭載している場合は、Exchange 2003 がメモリを効果的に使用できるようにする必要があります。ハードウェア構成、データベースの数、およびサーバー上のユーザー数に関係なく、Exchange Server 2003 の Exchange インフォメーションストア (Store.exe) プロセスは、指定可能な有限のメモリ空間で動作します。この空間を仮想アドレス空間と呼びます。ほとんどの場合、インフォメーションストアでのこの仮想アドレススペースの使用量が、Exchange Server 2003 メールボックスサーバー全体のパフォーマンスと拡張性を決定します。小規模から中規模のサーバーでは、Exchange Server 2003 は自動的に最適なバランスを決定します。大規模なサーバーでは、以下で説明するチューニングパラメータの一部またはすべてを手動で調整することもできます。

メモリ使用率の監視

イベントビューアとパフォーマンスログと警告を使用して、Exchange Server での仮想メモリの問題を監視することができます。アプリケーションログには、仮想メモリの最大空きブロックが 32 MB まで減少したときにイベント ID 9582 警告が表示されます。この警告が表示された場合は、次の機会に Exchange ストアプロセスを再起動する必要があります。最大空きブロックが 16 MB まで減少すると、イベント ID 9582 エラーが再び表示されます。このエラーは、サーバーに障害が発生する可能性があることを意味するため、できるだけ早い機会にサーバーを再起動する必要があります。これらのイベントに対処しないと、突発的なメール配信エラーおよび IMAIL 変換エラー (イベント ID 12800) が発生する可能性があります。

詳細な手順については、「Exchange Server でメモリ使用量を監視する方法」を参照してください。

サーバーが仮想アドレス空間の不足の兆候を示している場合は、以下の設定を調整する必要があります。これらの設定が Exchange 用に最適化されていない場合は、アプリケーションイベントログにイベント 9665 が表示されます。

サーバーで Windows 2000 Advanced Server または Windows Server 2003 を実行しており、かつ 1 GB 以上の物理メモリを搭載している場合は、boot.ini ファイル内に /3GB 起動スイッチを設定します。詳細な手順については、「Windows の /3GB 起動スイッチを設定する方法」を参照してください。
サーバーで Windows Server 2003 (すべてのエディション) を実行している場合は、Boot.ini ファイルに /USERVA 起動スイッチを設定します。詳細な手順については、「Windows の /USERVA 起動スイッチを設定する方法」を参照してください。
サーバーで Windows 2000 Server を実行している場合は、Windows 2000 Service Pack 3 以降がインストールされていることを確認します。
サーバーで Windows 2000 Server を実行している場合は、レジストリ値を設定します。詳細な手順については、「Windows 2000 のシステムページテーブルエントリを増やす方法」を参照してください。
サーバーに 1 GB 以上の物理メモリを搭載している場合は、レジストリ値を設定します。詳細な手順については、「HeapDeCommitFreeBlockThreshold レジストリ値を設定する方法」を参照してください。
必要に応じて、ストアデータベースのキャッシュサイズを調整してください。詳細な手順については、次の手順を参照してください。
- DSAccess 構成キャッシュを構成する方法
- DSAccess ユーザーキャッシュを構成する方法

イベント 9665

ストアプロセスが開始するときに、Exchange はメモリの構成が最適であるかどうかを確認します。メモリ設定が最適化されていない場合、イベント 9665 がイベントログに書き込まれます (イベントビューアで確認できます)。このメッセージが書き込まれるのは以下の場合です。

サーバーで Windows 2000 Server を実行しており、レジストリ内の値が 24,000 ～ 31,000 の範囲外に設定されている。
サーバーに 1 GB 以上のメモリが搭載されているが、/3GB スイッチが指定されていない。
サーバーで Windows Server 2003 を実行しており、メモリが 1 GB 以上あり、かつ /3GB スイッチが設定されているが、/USERVA が設定されていないか、3030 以外の値に設定されている。

サーバーが既に最適に構成されている場合は、イベント 9665 がログに記録されないように設定することができます。詳細な手順については、「メモリ構成の通知イベントを抑制する方法」を参照してください。

/3GB スイッチの設定

既定では、Windows 2000 Advanced Server および Windows Server 2003 は、Store.exe などのユーザーモードプロセスに 2 GB の仮想アドレススペースを割り当てます。サーバーの物理メモリが 1 GB 以上ある場合は、Boot.ini ファイルに /3GB スイッチを設定して、仮想アドレススペースを増やします。

/3GB スイッチを設定する詳細な手順については、「Windows の /3GB 起動スイッチを設定する方法」を参照してください。

/USERVA スイッチおよび SystemPages レジストリ値の設定

サーバーで Windows 2000 を実行している場合は、SystemPages レジストリ値を 24,000 ～ 31,000 に設定してください。サーバーで Windows Server 2003 を実行している場合は、SystemPages 値を 0 に設定し、Boot.ini ファイルに /USERVA=3030 起動スイッチを設定します。これらの設定により、スケールアップするシステムにとって重要な、サーバー上で入力できるシステムページテーブルエントリの数を増やすことができます。

/USERVA スイッチは、Windows Server 2003 で新しく導入されました。このスイッチの目的は、ユーザーモードプロセスとカーネルモードプロセスの間で仮想アドレススペースの分配をより詳細に制御することです。このスイッチは、Exchange Server 2003 などのこのスイッチをサポートするアプリケーションのみで使用し、アプリケーションでサポートされる値を設定します。Exchange Server 2003 システムで使用する場合、/USERVA には常に 3030 を指定します (たとえば、/USERVA=3030)。この値により、オペレーティングシステムに 40 MB が追加で割り当てられ、利用可能なすべてのシステムリソースを消費することなくさらにユーザーを追加することができます。

Windows 2000 で SystemPages レジストリ値を構成する詳細な手順については、「Windows 2000 のシステムページテーブルエントリを増やす方法」を参照してください。

/USERVA 起動スイッチを構成する詳細な手順については、「Windows の /USERVA 起動スイッチを設定する方法」を参照してください。

HeapDeCommitFreeBlockThreshold レジストリ値の設定

HeapDeCommitFreeBlockThreshold レジストリ値は、ヒープマネージャがメモリをデコミット (解放) する前に、必要な空き領域を制御します。既定値は 0 で、その場合、ヒープマネージャは、ページを 4 KB 単位でデコミットして使用可能にします。時間が経つにつれて、仮想アドレス空間が断片化することがあります。物理メモリが 1 GB 以上あるサーバーでは、このレジストリキーの値を大きくして、断片化を減らすようにする必要があります。

HeapDeCommitFreeBlockThreshold レジストリ値を設定する詳細な手順については、「HeapDeCommitFreeBlockThreshold レジストリ値を設定する方法」を参照してください。