Excel Services の概要

最終更新日: 2014年2月13日

適用対象: SharePoint Server 2010

Excel Services は、サービス アプリケーションです。このサービス アプリケーションにより、Microsoft SharePoint Server 2010 上で Microsoft Excel ブックの読み込み、計算、および表示を行うことができます。Excel Services は、Microsoft Office SharePoint Server 2007 で最初に導入されました。

Excel Services を使用すると、SharePoint Server 2010 ポータルおよびダッシュボードで Excel ブックを簡単に再利用および共有できます。たとえば、金融アナリスト、ビジネス プランナー、またはエンジニアは、Excel でコンテンツを作成し、そのコンテンツを、カスタム コードを記述せずに、SharePoint Server 2010 ポータルおよびダッシュボードを使用して他のユーザーと共有できます。表示されるデータを制御し、Excel ブックのバージョンを 1 つだけ保持することができます。

Excel Services には 4 つの主なインターフェイスがあります。

  • Excel Web Access Web パーツ。ブラウザーで実際のブックを表示して操作することができます

  • プログラムによるアクセス用の Excel Web Services

  • 自動化およびカスタマイズのための ECMAScript (JavaScript、JScript) オブジェクト モデル。Excel Web Access コントロールを実行し、より魅力的な統合ソリューションの構築に役立ちます

  • URL 経由でブック パーツに直接アクセスするための REST (Representational State Transfer) API

ユーザー定義関数 (UDF) を使用して Excel Calculation Services を拡張することもできます。

注意

Excel Calculation Services の詳細については、「Excel Services のアーキテクチャ」を参照してください。

Excel Services を使用すると、ブラウザーのみを使用してライブのインタラクティブ ブックを表示できます。つまり、ポータル サイト内から Excel ブックを保存したり、操作したりできます。

ピボットテーブルの並べ替え、フィルター処理、展開、または縮小を行い、パラメーターを渡すことで、Excel ベースのデータを操作することもできます。これにより、発行されたブック上で分析を実行できます。発行されたブックを変更しなくても、ブックを操作できます。これは、レポートの作成者とコンシューマーにとって役に立つ機能です。

Excel Services は、外部データ ソースに接続されているブックをサポートします。外部データ ソースへの接続文字列は、ブックに埋め込むか、データ接続ライブラリ ファイルに集中的に保存できます。

名前付き範囲 (パラメーター) にすることによって、ワークシート内の選択したセルを編集可能にすることもできます。表示可能にするように選択したアイテムは、Excel Services に保存するときに、Excel Web Access の [パラメーター] ウィンドウに表示されます。[パラメーター] ウィンドウでこれらの名前付き範囲の値を変更し、ブックを更新することができます。ポータルのフィルター Web パーツを使用して、いくつかの Web パーツ (Excel Web Access およびその他の種類の Web パーツ) に共にフィルターを適用することもできます。

ただし、Excel Services を使用して、新しいブックの作成や既存のブックの編集はできません。Excel Services で使用するブックを作成するには、Microsoft Office Excel 2007 または Microsoft Excel 2010 を使用できます。

注意

Microsoft Excel Web App (Microsoft Office Web Apps の一部) でも、ブラウザー内で Excel ブックがサポートされます。Excel Web App の詳細については、「Office Web Access - Excel 2010、はじめに」を参照してください。

Excel Services にも Web サービスがあります。Excel Web Services を使用して、ブックを読み込み、セルや範囲に値を設定し、外部データ接続を更新し、ワークシートを計算し、計算された結果 (セル値、計算されたブック全体、ブックのスナップショットを含む) を抽出することができます。また、SharePoint Server 2010 でも、Excel Web Services を使用して、保存、コピーの保存、グループ作業による編集セッションへの参加ができます。

注意

スナップショットの詳細については、「[方法] ブック全体またはスナップショットを取得する」を参照してください。

Excel Services は UDF をサポートします。UDF を使用して、Excel Calculation Services の機能を拡張することができます (たとえば、カスタム計算ライブラリを実装したり、Excel Services によってネイティブでサポートされていない Web サービスおよびデータ ソースからデータを読み取ったりします)。

Excel Services は、Excel との機能および計算の再現性を提供する、拡張性と堅牢性を備えたエンタープライズ クラスのサーバーになるように設計されています。

シナリオおよび機能

Excel Services は多数の異なるシナリオをサポートとします。このセクションでは、そのうちのいくつかについて説明します。

ビジネス インテリジェンス ポータルおよびブック分析

ビジネス インテリジェンス ポータルは、スコアカードおよびレポートを表示し、ユーザーがブラウザーのみを使用してデータを探索できるようにします。SharePoint Server の BI センター機能には、ビジネス インテリジェンス ポータルおよびダッシュボード機能が含まれています。図 1 は、レポートのライブラリ、グラフ、および主要業績評価指標 (KPI) が既にセットアップされているレポート センター ダッシュボードを示しています。

Excel Services には、サーバー上のデータを計算する機能もあります。Excel Services は、Excel ベースのコンテンツを統合された BI ダッシュボード上で計算および公開できるようにすることで、BI センターに参加します。Excel Web Access Web パーツを使用して Excel ブックを表示し、外部データ ソースに接続し、ブック内のデータをさらに操作することができます。

図 1 は、フィルター Web パーツを含むダッシュボード、および Excel Web Access Web パーツを使用して表示される Excel ブックを示しています。

図 1. フィルター処理と Excel コンテンツを含むダッシュボード

フィルターおよび Excel コンテンツを備えたダッシュボード

統合ダッシュボードへの参加に加えて、Excel Services を使用すると、Excel ブックのすべてまたは一部を表示できるため、ユーザーはそのコンテンツを使い慣れた Excel ユーザー インターフェイスで操作できます。図 2 は、表示される範囲、およびパラメーターの入力として表示されるセルを示しています。特定のセルをパラメーターとして指定すると、ユーザーは右側のウィンドウの編集ボックスを使用して、ワークシート内のこれらのセルの値を変更できます。Excel Services は、新しい値に基づいてワークシートを再計算します。

Excel の特定の機能を使用する必要がある場合や、すべての Excel 機能を使用してブックを分析する必要がある場合は、[Excel で開く] をクリックしてブックを Excel で開くことができます。また、印刷やオフライン作業を行うために、Excel でブックを開くこともできます。

注意

[Excel で開く] コマンドを使用してブックを開くには、"開く" 権限を持っている必要があります。詳細については、次のセクションの「ブックの管理」、および TechNet の「ユーザー権限とアクセス許可レベル (SharePoint Server 2010)」を参照してください。"開く" 権限を持っていなくても、ユーザーは、Excel でスナップショットを開くことができます。

図 2. [パラメーター] ウィンドウの使用

[パラメーター] ウィンドウの使用

Excel Web Access を使用してデータの分析、ピボット、および操作を行うこともできます。

Excel Services、および SharePoint Server 2010 のビジネス インテリジェンス機能の詳細については、SharePoint Server ヘルプのビジネス インテリジェンスに関するドキュメントを参照してください。

ブックを管理する

Excel Services のブック管理およびロックダウン機能により、次のことを行うことができます。

  • 各ユーザーのコンピューターに複数のコピーを保持するのではなく、セキュリティで保護された中心的な場所に、信頼できる作成者によって作成および変更されるブックのコピーを 1 つだけ保持します。ワークシートの正しいバージョンを、Excel、SharePoint、その他のアプリケーション内から、より簡単に検索、共有、および使用することができます。

  • ブック モデルおよびバックエンド データをセキュリティで保護します。ユーザーには "参照のみ" の権限を与えて、ブックへのアクセスを制限することができます。たとえば、ユーザーが Excel を使用してブックを開くことができないようにしたり、ユーザーが表示することを許可されるブック内の項目を制御したりすることができます。ユーザーは、作成者が共有することを望むブックのコンテンツにブラウザー ベースでアクセスできますが、ブックを Excel クライアントで開いたり、式を表示したり、ブックに含まれる場合のあるサポート コンテンツや他の知的財産を表示したりできません。

  • ブックのスナップショットを作成します。

Excel Services は、多くのユーザーおよび多くのブックに応じて最適化されます。また、サーバー ファーム間で計算を負荷分散することもできます。

Excel Services を使用してブックを管理する方法については、TechNet または SharePoint Server ヘルプの SharePoint Server に関するドキュメント、または Office Online を参照してください。

カスタム .NET アプリケーションを介したプログラムによるアクセス

次の処理を行うカスタム アプリケーション (ASP.NET アプリケーションなど) を作成できます。

  • Excel Web Services を呼び出してブックのアクセス、パラメータ化、および計算を行います。

  • 開く、外部データを更新する、セルまたは範囲を設定する、再計算する、他のアプリケーションまたはユーザーとのグループ作業による編集セッションに参加する、保存する、名前を付けて保存する、などの処理を行います。

  • カスタム ワークフローを使用して、計算操作のスケジュールや電子メール通知の送信を行います (これには、SharePoint 機能が使用されます。これは、Excel Services のネイティブな部分ではありません)。

ユーザー定義関数 (UDF)

Excel Services UDF を使用することもできます。これにより、セル内の数式を使用して、マネージ コードで記述され、SharePoint Server 2010 に展開されるカスタム関数を呼び出すことができます。

Excel Services の UDF の詳細については、「Excel Services UDF とは」を参照してください。

ECMAScript (JavaScript、JScript)

Excel Services の JavaScript オブジェクト モデルを使用して、Excel Web Access Web パーツ コントロールを自動化、カスタマイズ、および実行することもできます。JavaScript オブジェクト モデルを使用して、より魅力的な統合ソリューションを構築できます。

REST API

Excel Services の REST API を使用して、ブック パーツまたは要素に URL 経由で直接アクセスできます。Excel Services REST API に組み込まれた検出メカニズムを使用すると、開発者とユーザーは手動またはプログラムによってブックのコンテンツを探査できます。

Excel Services の REST API の詳細については、「Excel Services REST API」を参照してください。

関連項目

タスク

[ウォークスルー] Excel Web Services を使用してカスタム アプリケーションを開発する

概念

Excel Services 開発ロードマップ

Excel Services のアーキテクチャ

Excel サービスの UDF についてよく寄せられる質問

Excel Services のブログ、フォーラム、およびリソース

その他の技術情報

Excel Services でサポートされない機能