Share via


ジャーナル レポートについて

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2009-04-21

ここでは、Microsoft Exchange Server 2007 のジャーナル レポートの構造と、これらのレポートの情報を解釈する方法について説明します。

ジャーナル レポートとは

ジャーナル レポートは、メッセージがジャーナル ルールと一致するときに Microsoft Exchange によって生成されるメッセージで、ジャーナリング メールボックスに送信されます。ジャーナル ルールと一致した元のメッセージは、ジャーナル レポートの添付ファイルとして変更されずに含まれます。この種類のジャーナル レポートをエンベロープ ジャーナル レポートと呼びます。

note注 :
Exchange 2007 では、エンベロープ ジャーナリングのみサポートしています。

ジャーナル レポートに含まれる情報は、各ヘッダー フィールドのすべての値がジャーナル レポートのそれぞれの行になるように整理されます。これにより、要件に応じて、手動または自動化されたプロセスを使用してレポートを容易に解析できます。

メッセージがジャーナルの対象となった場合、ジャーナリング エージェントは元のメッセージについて可能な限りの詳細を取得しようとします。この情報は、メッセージの意図、受信者、および送信者を判断する際に非常に重要です。たとえば、メッセージで識別される受信者が、To フィールドまたは Cc フィールドに直接アドレス指定されているか、あるいは配布リストの一部に含まれるかによって、メッセージ内の討論に受信者がどのように関与しているかを判断できます。

状況によっては、Exchange 2007 が単一のメッセージについて複数のジャーナル レポートを生成することがあります。単一のメッセージが 1 つのジャーナル レポートを生成するか、複数のジャーナル レポートを生成するかは、分割、展開済みの配布グループの有無など、複数の理由に左右されます。

ジャーナル レポートには機密性の高い情報が含まれている可能性があるため、権限のない個人が参照できないように保護する必要があります。ジャーナル レポートを保護する方法の詳細については、「ジャーナル レポートの保護」を参照してください。

ジャーナリングおよびジャーナル レポートの詳細については、以下のトピックを参照してください。

ジャーナル レポートのフィールド

ここでは、Exchange 2007 によって生成されるジャーナル レポート内に含まれている各フィールドについて説明します。これらのフィールドは、次の表に示す基本フィールドと拡張フィールドに分かれます。

ジャーナル レポートの基本フィールドと拡張フィールド

基本ジャーナル レポート フィールド 拡張ジャーナル レポート フィールド

Sender

To

Subject

Cc

Message-ID

Bcc

Recipient

On-Behalf-Of

拡張ジャーナル レポート フィールドに値が書き込まれるかどうかは、以下の状況に左右されます。

  • ハブ トランスポート サーバーへの MAPI 送信   受信者のアドレス指定は、Microsoft Office Outlook 2007 やモバイル デバイスの Outlook などのクライアントから、MAPI を使用するハブ トランスポート サーバーにメッセージが送信されるときに判断できます。
  • ハブ トランスポート サーバーへの認証された SMTP 送信   受信者のアドレス指定は、認証された簡易メール転送プロトコル (SMTP) を使用してハブ トランスポート サーバーにメッセージが送信されるときにも判断できます。送信者がサーバーであることを示すので、送信者は Send-As-Anyone アクセス許可を持っていてはいけません。

特定の受信者について受信者のアドレス指定を判断できる場合、その受信者の電子メール アドレスが適切な拡張 To、Cc、または Bcc フィールドに挿入されます。これらのフィールドについては、後の「拡張ジャーナル レポート フィールド」の表で説明します。受信者の電子メール アドレスは、基本の Recipient フィールドには挿入されません。このフィールドについては、後の「基本ジャーナル レポート フィールド」の表で説明します。

メッセージが、エッジ トランスポート サーバーからの匿名送信や Exchange Server 2003 を実行しているサーバーからの送信など、他の方法を使用してハブ トランスポート サーバーに送信される場合、Exchange は受信者のアドレス指定が改ざんされていないことを確認できません。受信者のアドレス指定を確認できない場合、受信者の電子メール アドレスは基本の Recipient フィールドに挿入され、拡張 To、Cc、または Bcc フィールドには挿入されません。

メッセージでアドレス指定された受信者それぞれについて、1 つの Recipient ジャーナル レポート フィールドが追加されます。次の例外を除いて、どの Recipient フィールドにも複数の受信者電子メール アドレスが含まれることはありません。

  • 配布グループから展開された受信者を含む Recipient フィールド
  • 他のメールボックスから転送されたメッセージを受信した受信者を含む Recipient フィールド

展開または転送されたメッセージについては、メッセージの最終的な配信を受信した受信者の電子メール アドレスと、最初にアドレス指定された配布グループまたはメールボックスの電子メール アドレスが含まれます。

基本ジャーナル レポート フィールド

Exchange 2007 ジャーナル レポートの基本フィールドには、元のメッセージの Sender、Subject、および Message-ID があります。すべてのジャーナル レポートに、この情報が含まれます (元のメッセージに情報が存在する場合)。

4 番目の基本フィールドは Recipient フィールドです。Exchange 2007 では、正しいことがわかっている情報のみを分類します。Exchange で、受信者が To、Cc、または Bcc 受信者フィールドに含まれているかどうかを判断できない場合、その受信者はジャーナル レポートの Recipient フィールドに置かれます。

次の表は、ジャーナル レポートの本文に含まれる基本フィールドの一覧です。

基本ジャーナル レポート フィールド

フィールド名 説明

Sender

Sender フィールドには、メッセージの From ヘッダー フィールド、またはメッセージが別のメールボックスの代理で送信されている場合は Sender ヘッダー フィールドに指定された電子メール メッセージの送信者の SMTP アドレスが表示されます。

Subject

Subject フィールドには、MIME Subject ヘッダーの値が表示されます。

Message-ID

Message-ID フィールドには、Exchange の内部の Message-ID が表示されます。これは、メッセージ追跡ログ ファイルに表示される Message-ID と同じです。

Recipient

Exchange がメッセージの受信者のアドレス指定を判断できない場合、Recipient フィールドには、その電子メール メッセージに含まれている受信者の SMTP アドレスが表示されます。これには、レガシー Exchange サーバーから発信されたメッセージやインターネットからのメッセージが該当します。

拡張ジャーナル レポート フィールド

Exchange 2007 ジャーナル レポートの拡張フィールドは、より詳しいレベルの受信者の詳細を提供します (詳細がある場合)。ジャーナル レポートの To、Cc、および Bcc フィールドを使用すると、受信者が元のメッセージでどのようにアドレス指定されていたかを確認できます。

On-Behalf-Of フィールドは、メッセージがハブ トランスポート サーバーに直接送信されたかどうかにかかわらず、メッセージの SMTP ヘッダーに From: と Sender: の両方のヘッダー フィールドが含まれている場合に入力されます。From: ヘッダー フィールドに含まれている SMTP アドレスは、On-Behalf-Of フィールドに入力された値です。

次の表は、ジャーナル レポートの本文に含まれる可能性がある拡張フィールドの一覧です。

拡張ジャーナル レポート フィールド

フィールド名 説明

On-Behalf-Of

On-Behalf-Of フィールドには、送信者によって Send On Behalf Of 機能が指定されている場合に、メッセージで表示されるメールボックスの SMTP アドレスが表示されます。

To

To フィールドには、メッセージ エンベロープおよびメッセージの To ヘッダー フィールドに含まれる受信者の SMTP アドレスが表示されます。

受信者アドレスは、送信者によって直接含めることができます。また、配布リストの展開によって、あるいはメッセージが別のメールボックスから受信者に転送された場合に、間接的に含めることができます。メッセージが配布リスト展開によって送信されたか、転送されたかを示すため、To フィールドにはコンマで区切られた Expanded フィールドまたは Forwarded フィールドが 1 つ含まれる場合があります。これらのフィールドの詳細については、この表の Expanded および Forwarded を参照してください。

Cc

Cc フィールドには、メッセージ エンベロープおよびメッセージの Cc ヘッダー フィールドに含まれる受信者の SMTP アドレスが表示されます。

受信者アドレスは、送信者によって直接含めることができます。また、配布リストの展開によって、あるいはメッセージが別のメールボックスから受信者に転送された場合に、間接的に含めることができます。メッセージが配布リスト展開によって送信されたか、転送されたかを示すため、Cc フィールドにはコンマで区切られた Expanded フィールドまたは Forwarded フィールドが 1 つ含まれる場合があります。これらのフィールドについては、次の表で説明します。

Bcc

Bcc フィールドには、メッセージ エンベロープおよびメッセージの Bcc ヘッダー フィールドに含まれる受信者の SMTP アドレスが表示されます。

受信者アドレスは、送信者によって直接含めることができます。また、配布リストの展開によって、あるいはメッセージが別のメールボックスから受信者に転送された場合に、間接的に含めることができます。メッセージが配布リスト展開によって送信されたか、転送されたかを示すため、Bcc フィールドにはコンマで区切られた Expanded フィールドまたは Forwarded フィールドが 1 つ含まれる場合があります。これらのフィールドについては、後で説明します。

Expanded および Forwarded フィールド

Expanded および Forwarded フィールドは、その受信者が配布グループから展開された、またはメッセージが別のメールボックスから転送された場合に、Recipient、To、Cc、または Bcc フィールドのサブフィールドとして含まれます。次の表は、Expanded および Forwarded 拡張フィールドの説明です。

Expanded および Forwarded フィールド

フィールド 説明

Expanded

Expanded フィールドは、前述の To フィールド、Cc フィールド、および Bcc フィールドのサブフィールドとして表示されます。Expanded フィールドの前にはコンマがあります。Expanded フィールドに表示される SMTP アドレスは、To フィールド、Cc フィールド、または Bcc フィールドに指定された受信者、あるいは指定の受信者が含まれる入れ子になった配布リストを含む配布リストのアドレスです。このフィールドに表示されるアドレスは、元の親配布リストと、展開されて To フィールド、Cc フィールド、または Bcc に指定される最終的な受信者との間で入れ子になっている配布リスト数に関係なく、常に最初に展開される配布リストです。

Forwarded

Forwarded フィールドは、前述の To フィールド、Cc フィールド、および Bcc フィールドのサブフィールドとして表示されます。Forwarded フィールドの前にはコンマがあります。通常、Forwarded フィールドには、To フィールド、Cc フィールド、または Bcc フィールドで指定されるアカウントに電子メール メッセージを転送するように構成された、メールボックスの電子メール アドレスが表示されます。ただし、それぞれのメールボックスがさらに別のメールボックスに転送するように、メールボックスの転送のチェーンを構成できます。メールボックスの転送のチェーンを構成すると、最初に転送するメールボックスがこのフィールドに表示され、チェーンの最後にある転送を行わないメールボックスの SMTP アドレスが To フィールド、Cc フィールド、または Bcc フィールドに表示されます。

ジャーナル レポートのヘッダー

Exchange 2003 では、メッセージのジャーナリングおよびジャーナル レポートの識別は X-EXCH50 バイナリ ラージ オブジェクト (BLOB) を使用して制御されています。Exchange 2007 では、X-EXCH50 BLOB は使用されなくなり、ヘッダー ファイアウォールが適用される SMTP ヘッダーが代わりに使用されます。これらの SMTP ヘッダーは、Exchange 2007 トランスポート コンポーネントによってのみアクセスすることができます。このようなヘッダーは、メールボックスへの配信の前、または Exchange 2007 組織外部への配信の前にメッセージから削除されます。X-MS-Exchange-Organization-Journal-Report SMTP ヘッダーは Exchange 2007 ジャーナル レポートを識別します。X-MS-Exchange-Organization-Processed-By-Journaling SMTP ヘッダーは、Exchange 2007 ジャーナリング エージェントによって処理されたメッセージを識別します。

X-MS-Exchange-Organization-Journal-Report SMTP ヘッダーがメッセージに含まれている場合、Exchange 2007 ではそのメッセージがジャーナル レポートであると認識され、メッセージがシステム メッセージとして機能し、メッセージ サイズやメールボックスでの受信者の制限を迂回できるようにします。X-MS-Exchange-Organization-Processed-By-Journaling SMTP ヘッダーがメッセージに含まれている場合、Exchange 2007 はそのメッセージが既に前のハブ トランスポート サーバーでジャーナリング エージェントによって処理済みであることを認識し、メッセージを再ジャーナリングしません。

note注 :
X-MS-Exchange-Organization-Journal-Report SMTP ヘッダーは、ジャーナル レポートがジャーナル メールボックスに配信されるときにヘッダー ファイアウォールによって削除されるので、X-MS-Journal-Report SMTP ヘッダーがジャーナル レポートに追加されます。X-MS-Journal-Report SMTP ヘッダーによって通常のメッセージからジャーナル レポートを区別できますが、Exchange 2007 トランスポート コンポーネントでは使用されません。

X-MS-Exchange-Organization-Journal-Report SMTP ヘッダー、X-MS-Exchange-Organization-Processed-By-Journaling SMTP ヘッダー、および X-MS-Journal-Report SMTP ヘッダーには値は含まれません。前に説明したように、メッセージにこれらの SMTP ヘッダーが存在していることによって、メッセージがジャーナル レポートであるかどうかや、ジャーナリングによって処理済みであるかどうかが判別されます。

詳細については、以下のトピックを参照してください。

ジャーナル レポートの例

このセクションの最初の図は、メッセージが Exchange 2007 メールボックスからハブ トランスポート サーバーに送信されたときに生成されたジャーナル レポートの例を示しています。元のメッセージの受信者は、次のようにアドレス指定されていました。

  • To フィールドには、"販売グループ"配布グループが含まれています。"販売グループ" 配布グループのメンバーは、Brian Smith、David Simpson、Maria Cameron、および Ray Chow の 4 名です。
  • Cc フィールドには、受信者 Christine Hughes が含まれています。Christine Hughes のメールボックスは、メッセージを Katie Jordan のメールボックスに自動的に転送するように構成されています。
  • Bcc フィールドには、受信者 Blaine Dockter が含まれています。

Exchange 2000 では、元のメッセージが送信されたときに、3 つのジャーナル レポートが作成されました。次の図に示すジャーナル レポートには、"販売グループ" 配布グループから展開された受信者のみが示されています。

拡張された宛先の受信者が表示されたジャーナル レポート

note注 :
Exchange 2007 SP1 では、ジャーナル レポートが 1 つのみ生成されます。

Exchange 2007 では、前のメッセージ例から、追加のジャーナル レポートが 2 つ生成されました。CC と BCC の受信者に対するジャーナル レポートは、各ジャーナル レポートに To ジャーナル レポート フィールドではなく以下のフィールドがそれぞれ存在することを除き、前の図と同じです。

  • Cc: katie@adatum.com, Forwarded: christine@adatum.com
  • Bcc: blaine@adatum.com

次の図は、インターネットから発信されたメッセージがハブ トランスポート サーバーで処理されたときに生成されたジャーナル レポートの例を示しています。このメッセージの受信者は、前の例の受信者と同じようにアドレス指定されました。ただし、この図のジャーナル レポートでは、元のメッセージがインターネットから送信されたため、受信者は Recipient フィールドに書き込まれています。メッセージはインターネットから発信されたため、Exchange は受信者のアドレス処理が改ざんされていないことを確認できません。最初の例と同様、単一のメッセージについて 3 つのジャーナル レポートが作成されました。次の図には、"販売グループ" 配布リストから展開された受信者のみが示されています。

基本受信者フィールドが表示されたジャーナル レポート

note注 :
Exchange 2007 SP1 では、ジャーナル レポートが 1 つのみ生成されます。

Exchange 2007 では、2 番目のメッセージ例から、追加のジャーナル レポートが 2 つ生成されました。Cc と Bcc の受信者に対するジャーナル レポートは、各ジャーナル レポートに 2 番目のメッセージでアドレス指定された残りの受信者が含まれていることを除き、「基本受信者フィールドが表示されたジャーナル レポート」の図と同じです。

  • Recipient: katie@adatum.com, Forwarded: christine@adatum.com
  • Recipient: blaine@adatum.com

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。