空白の件名を持つメッセージ用に新しいトランスポート ルールを構成する方法

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2007-04-13

ここでは、Exchange 管理コンソールまたは Exchange 管理シェルを使用して、空白の件名行を持つ電子メール メッセージにアクションを実行するためのトランスポート ルールを構成する方法について説明します。この手順は、ハブ トランスポート サーバーの役割またはエッジ トランスポート サーバーの役割がインストールされているコンピュータで使用できます。

開始する前に

空白の件名行を持つ電子メール メッセージにアクションを実行するための新しいトランスポート ルールを作成するには、新しいトランスポート ルールの作成に使用する同じ手順を使用します。トランスポート ルールのアクションは、ハブ トランスポート サーバーとエッジ トランスポート サーバーで使用できます。これらのアクションを使用して、指定した条件を満たすメッセージの配信またはコンテンツを変更します。

トランスポート ルールの詳細については、「トランスポート ルールの概要」を参照してください。

以下の手順を実行するには、使用するアカウントに次の役割が委任されている必要があります。

  • Exchange 組織管理者の役割

エッジ トランスポート サーバーの役割がインストールされているコンピュータで以下の手順を実行するには、そのコンピュータのローカルの Administrators グループのメンバであるアカウントを使用してログオンする必要があります。

アクセス許可、役割の委任、および Microsoft Exchange Server 2007 を管理するために必要な権限の詳細については、「アクセス許可に関する考慮事項」を参照してください。

Caution注意 :
ここでは、新しいトランスポート ルールを作成する方法について説明します。運用環境で新しいトランスポート ルールを構成する場合は、事前にテスト環境を使用して、新しいトランスポート ルールを作成し、それらを徹底的にテストする方法を習得する必要があります。以下の手順は、運用環境で実行される前に、各組織に対応した変更が行われることを前提にしています。
important重要 :
電子メール メッセージにトランスポート ルールを適用するには、トランスポート ルールを適用するサーバーとの間のメッセージの送受信を可能にするルートが存在する必要があります。また、これらのメッセージを、メッセージの配信を防止するために管理者が構成したトランスポートの制限の対象外にする必要もあります。トランスポートの制限のためにメッセージが配信されない場合は、トランスポート ルール エージェントがそのメッセージに対して機能できず、トランスポート ルール エージェントのイベントが記録されません。

^$ 正規表現

空白の件名行を持つメッセージを検出するため、以下の手順では ^$ 正規表現を使用します。この正規表現は、2 つのパターン文字列 ^$ から構成されています。パターン文字列は、テキストが動的に変化する場合、メッセージのテキストでパターンを検索するために正規表現で使用されます。^ パターン文字列と $ パターン文字列がこの順序で使用されている場合、トランスポート ルール条件は、2 つのパターン文字列間にある正確な文字列のみを検索します。^$ 正規表現では ^ パターン文字列と $ パターン文字列の間には文字列がないため、この正規表現は空白の件名行などの空の文字列のみを検索します。

正規表現の詳細については、「トランスポート ルールの正規表現」を参照してください。

Exchange 管理コンソールを使用した空白の件名行を持つメッセージ用の新しいトランスポート ルールの作成

以下の手順は、Exchange 管理コンソールのハブ トランスポート サーバーまたはエッジ トランスポート サーバーでトランスポート ルール ウィザードを開き、新しいトランスポート ルールを作成して、空白の件名行を持つ電子メールに対してアクションを実行する方法を示しています。トランスポート ルール ウィザードを開いた後のハブ トランスポート サーバーとエッジ トランスポート サーバーの手順は同じです。

ハブ トランスポート サーバーの Exchange 管理コンソールでトランスポート ルール ウィザードを開くには、次の操作を行います。

  1. ハブ トランスポート サーバーで Exchange 管理コンソールを開きます。

  2. コンソール ツリーで [組織の構成] をクリックし、[ハブ トランスポート] をクリックします。

  3. 結果ウィンドウで [トランスポート ルール] タブをクリックし、操作ウィンドウで [トランスポート ルールの新規作成] をクリックします。

エッジ トランスポート サーバーの Exchange 管理コンソールでトランスポート ルール ウィザードを開くには、次の操作を行います。

  1. 新しいトランスポート ルールを作成するエッジ トランスポート サーバーで Exchange 管理コンソールを開きます。

  2. コンソール ツリーで、[エッジ トランスポート] をクリックします。

  3. 結果ウィンドウで [トランスポート ルール] タブをクリックし、操作ウィンドウで [トランスポート ルールの新規作成] をクリックします。

Exchange 管理コンソールを使用して、トランスポート ルール ウィザードで空白の件名行を持つメッセージ用の新しいトランスポート ルールを作成するには、次の操作を行います。

  1. トランスポート ルール ウィザードの "名前" フィールドに、トランスポート ルールの名前を入力します。

  2. このルールに関する注釈がある場合は、[コメント] ボックスに入力します。

  3. ルールを無効な状態で作成する場合は、[有効] チェック ボックスをオフにします。それ以外の場合は、[有効] チェック ボックスをオンのままにしておきます。

  4. [次へ] をクリックします。

  5. [ステップ 1: 条件の選択] ボックスで、["件名" フィールドにテキスト パターンが含まれている場合] 条件を選択します。

  6. [ステップ 2: ルールの説明の編集 (下線付きの値をクリック)] ボックスで、[テキスト パターン] 青い下線付きの単語をクリックします。

  7. [テキスト パターン] 青い下線付きの単語をクリックすると、新しいウィンドウが表示され、条件に適用する値を入力するよう求められます。^$ と入力し、[追加] をクリックします。[OK] をクリックしてウィンドウを閉じ、[次へ] をクリックします。

  8. [ステップ 1: 処理の選択] ボックスで、このルールに適用するすべてのアクションを選択します。

  9. [ステップ 2: ルールの説明の編集 (下線付きの値をクリック)] ボックスで、青い下線付きの各単語をクリックします。

  10. 表示される新しいウィンドウで、適用する項目を選択するか、手動で値を入力し、[OK] をクリックしてウィンドウを閉じます。

  11. 選択したアクションごとに前の手順を繰り返します。すべてのアクションを構成したら、[次へ] をクリックします。

  12. [ステップ 1: 例外の選択] ボックスで、このルールに適用するすべての例外を選択します。例外の選択は必須ではありません。

  13. 前の手順で例外を選択した場合は、[ステップ 2: ルールの説明の編集 (下線付きの値をクリック)] ボックスで、青い下線付きの各単語をクリックします。

  14. 青い下線付きの単語をクリックすると、新しいウィンドウが表示され、追加するアイテムを選択するか、または値を手動で入力するよう求められます。終了したら、[OK] をクリックしてウィンドウを閉じます。

  15. 選択した例外ごとに前の手順を繰り返します。すべての例外を構成したら、[次へ] をクリックします。

  16. [構成の概要] を確認します。新しいルールの構成が正しい場合は、[新規作成] をクリックし、次に [完了] をクリックします。

Exchange 管理シェルを使用した空白の件名行を持つメッセージ用の新しいトランスポート ルールの作成

Exchange 管理シェルを使用して、空白の件名行を持つメッセージにトランスポート ルール アクションを適用する新しいトランスポート ルールを作成するには、「新しいトランスポート ルールを作成する方法」の「Exchange 管理シェルを使用したトランスポート ルールの作成」を参照してください。

空白の件名行の条件の追加

以下の手順は、空白の件名行を持つメッセージを検出するトランスポート ルールの条件を追加し、これらのメッセージにアクションを適用する方法を示しています。

Exchange 管理シェルを使用して空白の件名行を持つメッセージを検出するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    $Condition = Get-TransportRulePredicate SubjectMatches
    $Condition.Patterns = @("^$")
    

空白の件名行のアクションの構成

空白の件名行の条件を追加した後、条件に一致するメッセージに実行するトランスポート ルール アクションを追加します。たとえば、メッセージを拒否し、カスタマイズされた配信不能レポート (NDR) を送信することができます。ここでは、RejectMessage トランスポート ルール アクションを使用し、NDR を使用してメッセージを拒否します。RejectMessage トランスポート ルール アクションは、ハブ トランスポート サーバーの役割上に存在します。

Exchange 管理シェルを使用して RejectMessage トランスポート ルールのアクションを選択するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    $Action = Get-TransportRuleAction RejectMessage
    

NDR の [管理者向けの診断情報] セクションで送信者に表示されるテキストを変更することができます。このテキストは、メッセージが拒否された理由を管理者が理解できるようにするための情報を提供できます。

Exchange 管理シェルを使用して、ハブ トランスポート サーバーの NDR に表示される "管理者向けの診断情報" テキストを構成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    $Action.RejectReason = "Sample reject reason"
    

また、カスタマイズされた DSN コードを指定することにより、NDR のユーザー情報セクションに表示される配信状態通知 (DSN) コードとメッセージを変更することもできます。カスタマイズされた DSN コードは、カスタマイズされた DSN メッセージに関連付けられます。このコードを、ユーザーに特定のポリシーまたは規制への HTML リンクを参照させることができるように指定することが有効です。既定では、5.7.1 の DSN コードに関連付けられた NDR が送信されます。

たとえば、空白の件名行を持つメッセージ用の新しいトランスポート ルールを作成し、ユーザーのメッセージが拒否された場合はユーザーに IT 部門を参照させるようにする場合は、EnhancedStatusCode プロパティに新しい未使用のカスタマイズされた DSN コードを指定することができます。新しいカスタマイズされた DSN コードを指定した後、New-SystemMessage コマンドレットを使用して DSN コードを作成し、その DSN コードが参照されるときに表示されるテキストを指定する必要があります。これを行う方法の例については、後の「空白の件名を持つメッセージを拒否するトランスポート ルールの構成」を参照してください。

note注 :
RejectReason トランスポート ルール アクションは、ハブ トランスポート サーバーでのみ使用できます。エッジ トランスポート サーバー上で空白の件名行を持つメッセージを拒否する場合は、SmtpRejectMessage トランスポート ルール アクションを使用する必要があります。SmtpRejectMessage トランスポート ルール アクションを使用する場合は、DSN コードのみを指定できます。ユーザーまたは管理者に対して表示する代替メッセージを指定することはできません。
SmtpRejectMessage トランスポート ルール アクションの詳細については、「トランスポート ルールのアクション」の「エッジ トランスポート サーバーでサポートされるアクション」を参照してください。

受け付けられる値と、Exchange 2007 によって DSN コードがトランスポート ルールに関連付けられる方法の詳細については、「DSN メッセージのトランスポート ルールとの関連付け」を参照してください。

Exchange 管理シェルを使用して、ハブ トランスポート サーバー上のカスタマイズされた DSN コードを指定することで NDR のユーザー情報テキストを構成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    $Action.EnhancedStatusCode = "5.7.228"
    

これらのアクションのプロパティの詳細については、「トランスポート ルールのアクション」を参照してください。

空白の件名行を持つメッセージ用の新しいトランスポート ルールの作成

条件、例外、およびアクションを構成したら、そのトランスポート ルールを適用する新しいトランスポート ルールを作成します。

Exchange 管理シェルを使用して、空白の件名を持つメッセージを拒否する新しいトランスポート ルールを作成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    New-TransportRule -Name "Sample Blank Subject Transport Rule" -Condition @($Condition) -Action @($Action)
    

空白の件名を持つメッセージを拒否するトランスポート ルールの構成

次の例は、ハブ トランスポート サーバーで空白の件名を持つメッセージを拒否するトランスポート ルールを適用する方法を示しています。

note注 :
このトランスポート ルールでは、カスタマイズされた DSN コードとメッセージを使用しています。この例の New-SystemMessage コマンドは、カスタマイズされた DSN コードとメッセージを作成します。詳細については、「DSN メッセージのトランスポート ルールとの関連付け」を参照してください。

Exchange 管理シェルを使用して、ハブ トランスポート ーバーで空白の件名を持つメッセージを拒否するトランスポート ルールを構成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    $Condition = Get-TransportRulePredicate SubjectMatches
    $Condition.Patterns = @("^$")
    $Action = Get-TransportRuleAction RejectMessage
    $Action.RejectReason = "Messages must have a subject in the subject line or they are rejected."
    $Action.EnhancedStatusCode = "5.7.228"
    New-SystemMessage -DsnCode 5.7.228 -Internal $True -Language En -Text "This message was rejected because it did not have a subject in the subject line. For more information, please contact the Information Technology department."
    New-TransportRule "Blank Subject Transport Rule" -Condition @($Condition) -Action @($Action)
    

詳細情報

各コマンドの構文およびパラメータの詳細については、以下のトピックを参照してください。

トランスポート ルールの詳細については、以下のトピックを参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。