アナログ デバイスの展開の計画

 

トピックの最終更新日: 2012-06-21

Lync Server ではアナログ デバイスがサポートされています。具体的には、アナログ音声電話とアナログ FAX 機器がサポートされています。このため、Lync Server 環境でアナログ デバイスの使用をサポートするように認定ゲートウェイを構成できます。この構成を行うと、アナログ デバイスで Lync Server を使用して電話の発着信を行うことができます。Lync Server は、他のデバイスの場合と同様に、アナログ デバイスのルーティングを決定して、詳細な通話の記録 (CDR) に通話を記録します。

note注:
ポケットベル、モデム、テレタイプ/聴覚障碍者用文字電話デバイス (TTY/TDD) など、他の種類のアナログ デバイスがサポートされているかどうかを調べるには、認定ゲートウェイのベンダーに問い合わせて、特定のデバイスがゲートウェイでサポートされているかどうかを確認してください。

Lync Server を使用するアナログ電話では、Lync Server を使用する IP 電話や USB 電話と同様に電話の発着信を行うことができます。ただし、コール パーク アプリケーションを使用して通話を保留したり、通話の転送や着信転送オプションを設定したりすることはできません。通話を取得する番号をダイヤルして、パークされた通話を解除することはできます。

Lync Server を使用するにはアナログ ゲートウェイを構成する必要があり、ゲートウェイは次のいずれかである必要があります。

  • アナログ電話アダプター (ATA)

  • PSTN アナログ ゲートウェイ

  • PSTN アナログ ゲートウェイを含む存続可能ブランチ アプライアンス

  • ATA と通信する PSTN ゲートウェイを含む存続可能ブランチ アプライアンス

note注:
SIP トランクを使用する FAX 通信はサポートされていません。

展開にアナログ デバイスを追加するには、標準のアナログ インターフェイス (FXS/電話ジャック) をデジタル電話のインターフェイス (Ethernet インターフェイス) に変換するように ATA を構成する必要があります。ATA を構成する前に、ゲートウェイを構成します。詳細については、「PSTN ゲートウェイの展開オプション」を参照してください。

使用しているゲートウェイおよび ATA のベンダー ドキュメントに従って、次のうち必要な手順を実行します。

  • ATA の IP アドレスを使用してゲートウェイを構成する。

  • アナログ デバイスの電話番号と ATA の IP アドレスの間のマッピングを設定する。

  • ゲートウェイの IP アドレスを使用して ATA を構成する。

ゲートウェイ管理コンソールを使用して、アナログ デバイスを Lync Server で使用する準備をします。このコンソールを使用してアナログ ゲートウェイを構成し、アナログ デバイスから Lync Server を使用して電話の発着信を行えるようにします。

Windows PowerShell コマンドライン インターフェイスで次のステップを (前のステップとは別に) 実行できます。

  1. アナログ デバイスごとに連絡先オブジェクトを新しく作成する。

  2. (オプション) ポリシーを作成して割り当てる。

important重要:
次のステップを完了する前に、必要なコンポーネントがすべて配置されていることを確認してください。詳細については、「デバイスに必要な Lync Server コンポーネント」を参照してください。また、展開が「デバイスのシステムおよびインフラストラクチャの要件」に記載されている要件に適合することを確認してください。Lync Server でのアナログ デバイスの設定方法の詳細については、個々のデバイスのドキュメントを参照してください。

仲介サーバーの要件

FAX 通信の CDR レポートを記録するために Lync Server とやりとりする FAX 機器が展開に含まれている場合は、メディア バイパスを有効にする必要があります。つまり、メディア バイパスをグローバルに有効にし、また FAX 機器の接続先のゲートウェイへのトランク接続でも有効にする設定を構成します。後の「連絡先オブジェクト」セクションの内容に従って、連絡先オブジェクトの構成で FAX 機器を正しく構成する必要があります。ゲートウェイは Lync Server に対して、FAX 通信を G.711 音声通話として送信する必要があります。画像通信として送信すると拒否されます。このような通話は、送信元のゲートウェイにヘアピンされます。バイパスによって、ヘアピンがゲートウェイに移動します。

note注:
DID (Direct-Inward-Dial) 番号が FAX 機器に関連付けられていることを Lync Server が検出すると、仲介サーバーはメディアを終了しません。代わりに、Lync Server は宛先の FAX 機器に通話をルーティングし、仲介サーバーをバイパスします。FAX 機器通信用の信号はフロントエンド プールまたは Standard Edition サーバー経由で流れるので、この種類の通話には一元化された通話詳細記録やポリシー管理機能を使用できます。

ゲートウェイの要件

PSTN 接続のゲートウェイに FAX デバイスを接続して、発着信を行う必要があります。

note注:
SIP トランクを使用する FAX 通信はサポートされていません。

Enhanced 9-1-1 の要件

アナログ デバイスは、場所情報サーバーから場所の情報を受信することや、緊急電話の場所を緊急サービス プロバイダーに送信することがありません。アナログ デバイスで Enhanced 9-1-1 (E9-1-1) をサポートするには、アナログ デバイスの場所の情報を PS-ALI サービス プロバイダーに直接プロビジョニングする必要があります。電話を移動するたびに、サービス プロバイダーとの間で場所の情報を更新する必要があります。

新しい連絡先オブジェクトの作成

ユーザーはアナログ デバイスにサインインできないので、デバイスをユーザー アカウントに関連付けることはできません。AD DS でアナログ デバイス用の新しい Active Directory ドメイン サービス (AD DS) 連絡先オブジェクトを作成し、ユーザーに割り当てるときと同じ方法でポリシーとボイス計画を連絡先オブジェクトに割り当てることができます。

新しい連絡先オブジェクトを作成および構成するには

Lync Server で管理できるアナログ デバイスの新しいインスタンスを作成するには、New-CsAnalogDevice コマンドレットを使用します。次にその例を示します。

New-CsAnalogDevice -LineUri tel:+14255556001 -DisplayName "Building 14 Receptionist" -RegistrarPool redmond-Cs-001.litwareinc.com -AnalogFax $False -Gateway 192.168.0.240 -OU "ou=Telecommunications,dc=litwareinc,dc=com"

このコマンドでは、1-425-555-6001 という電話番号 (LineUri) を持つ新しいアナログ デバイスが作成されます。電話番号は、E.164 形式を使用して指定する必要があります。このコマンドレットでは、LineUri パラメーターの他に、次のパラメーターが使用されています。

  • DisplayName   デバイスの AD DS の表示名を指定します。

  • RegistrarPool   レジストラー プールを指定します。

  • AnalogFax   $False に設定した場合、これが FAX 機器ではなく電話であることを指定します。

  • Gateway   ゲートウェイの IP アドレスまたは FQDN を指定します。

  • OU   デバイスの連絡先オブジェクトが作成される AD DS 組織単位 (OU) の識別名 (DN) を指定します。

アナログ デバイスの連絡先オブジェクトの作成の詳細については、Lync Server 管理シェルで Get-Help New- CsAnalogDevice -Full | more を実行してください。

多くのアナログ デバイスを展開している場合は、Windows PowerShell スクリプトを記述して、テーブルを使用したバッチ処理入力で同時に複数の新しいオブジェクトを作成できます。電話番号、場所、音声ポリシー、およびその他の適用可能なポリシー (適用する音声ポリシーやその他の設定など) のエントリを含めてください。

important重要:
Lync Server でのアナログ デバイスの設定方法の詳細については、個々のデバイスのドキュメントを参照してください。
note注:
Lync Server 管理シェルおよび個々のコマンドレットの詳細については、「Lync Server 管理シェル」のドキュメントを参照してください。

(オプション) ポリシーの作成と割り当て

アナログ デバイス固有のポリシーの作成はオプションです。 アナログ デバイス用の新しいポリシーを作成しない場合、デバイスはデバイスの連絡先オブジェクトが所属するサイト用に定義されたポリシーを自動的に使用します。 サイト ポリシーが存在しない場合は、グローバル ポリシーが使用されます。 組織にアナログ デバイス固有の要件がある場合は、このセクションで説明する Lync Server 管理シェル コマンドレットを使用して、作成するアナログ デバイス アカウントに適用する音声ポリシーと会議ポリシーを作成します (これらのポリシーと最も関連性が高いのはアナログ デバイスです)。 使用シナリオごとにポリシーを作成します。

新しいポリシーを作成するか、既存のユーザー単位のポリシーを使用する場合は、ポリシーの適用先の連絡先オブジェクト (電話) にそのポリシーを付与する必要があります。これを行うには、Lync Server コントロール パネルを使用するか、割り当てるポリシーの種類に応じたコマンドレットを使用します。詳細については、「Lync Server 管理ツールを開く」および「カテゴリ別の Lync Server 2010 のコマンドレット」を参照してください。

音声ポリシー

新しい音声ポリシーを作成するには、New-CSVoicePolicy コマンドレットを使用します。次にその例を示します。

New-CsVoicePolicy -Identity ADvoicepolicy -PstnUsages @{add="Internal","Local"} -Name ADvoicepolicy -EnableDelegation $False -EnableTeamCall $FALSE -EnableCallTransfer $FALSE

この例では、ADvoicepolicy という ID を持つ新しい音声ポリシーを作成します。 この新しいポリシーでは、アナログ デバイスに適用される可能性が高いプロパティをいくつか設定します。 PstnUsages オプションを設定することは重要です。

note注:
使用可能なすべての音声ポリシーのプロパティおよびその説明の一覧を参照するには、Lync Server 管理シェルで Get-Help New-CsVoicePolicy –Full を実行してください。

会議ポリシー

新しい会議ポリシーを作成するには、New-CSConferencingPolicy コマンドレットを使用します。次にその例を示します。

new-csconferencingpolicy -identity ADconferencingpolicy -allowIPAudio $false -allowIPvideo $False -EnableFileTransfer $False -EnableP2PFileTransfer $False -EnableDataCollaboration $False

これは、アナログ デバイスに適用できるよう設定した会議ポリシーの例です。 この例では、ADconferencingpolicy という ID を持つ会議ポリシーを作成します。 この新しいポリシーは、次の機能を無効にします。


  • 会議でコンピューター オーディオを使用する機能 (-AllowIPAudio $False)


  • コンピューター ビデオを使用する機能 (-AllowIPVideo $False)


  • 会議の一部としてファイルを送信する機能 (-EnableFileTransfer $False)


  • 会議中のピアツーピアのファイル送信 (-EnableP2PFileTransfer)


  • インターネット経由で会議に参加する機能 (-EnableDataCollaboration $False)

note注:
次の会議ポリシーの設定は、通常はアナログ デバイスに設定されるものですが、これらの設定や他の設定は、エンタープライズのニーズに合わせて変更できます。
  • AllowIPAudio :False

  • AllowIPVideo :False

  • EnableFileTransfer :False

  • EnableP2PFileTransfer :False

  • EnableDataCollaboration :False

使用可能なすべての会議ポリシーのプロパティおよびその説明の一覧を参照するには、Lync Server 管理シェルで Get-Help New-CsConferencingPolicy -Full | more を実行してください。