通話管理機能
トピックの最終更新日: 2010-11-03
ここでは、エンタープライズ VoIP 通話管理機能の展開を計画するために把握している必要がある、背景となる概念について説明します。
コール パーク
エンタープライズ VoIP ユーザーが次のいずれかを行うことができるようにする場合、コール パークを展開します。
通話を保留にして、同じ電話や別の電話で通話に応答する。
通話を保留にして、営業部門や倉庫など、共通領域電話が使用されている部門または一般的な領域に転送する。
通話を保留にして、他の通話に元の留守番電話を使用できるようにする。
ユーザーが通話を保留にすると、その通話は Lync Server 2010 によってオービットと呼ばれる一時的な番号に転送され、応答するか、またはタイムアウトになるまで、そこで保持されます。Lync Server は、通話を保留にしたユーザーにオービットを送信します。 保留にした通話に応答するには、ユーザーはオービット番号をダイヤルするか、[会話] ウィンドウでオービット リンクまたはボタンをクリックします。
通話を保留にしたユーザーは、他のユーザーにオービット番号を連絡するために、インスタント メッセージング (IM) やポケットベルなどの外部の機能を使用して、他のユーザーに通話を知らせて応答させることができます。 通話を保留にしたユーザーは、[会話] ウィンドウを開いたままにして、通話が応答されたときに通知を受け取ることができます。
オービットの範囲はグローバルに一意であるため、ルーティングが適切に構成されている場合は、任意の Lync Server サイトまたは PBX 電話からの通話に応答することができます。 構成可能な時間内で通話に応答するユーザーがいない場合、通話を保留にしたユーザーが再度呼び出されます。 そのユーザーが再度の呼び出しに応答しない場合、通話はフォールバック先 (構成内容に応じてオペレーターなど) に転送されます。 通話が転送される前に、1 ~ 10 回まで再度呼び出す回数を構成できます。 転送された通話に誰も応答しない場合、その通話は切断されます。 通話が応答または切断されると、オービットは解放されます。
コール パークを展開する場合、通話を保留するために、内線番号の範囲 (オービット) を予約する必要があります。 これらの内線番号は、ユーザーや電話が割り当てられていない、 仮想の内線番号にする必要があります。 次に、そのオービット範囲を使用してコール パーク オービット テーブルを構成し、各範囲を処理するコール パーク アプリケーションをホストするアプリケーション サービスを指定します。 各フロント エンド プールの対応するバックエンド サーバーにコール パーク テーブルが保存されて、プールで保留になっている通話を管理するために使用されます。 オービット範囲の一覧は中央管理ストアに保存され、オービットを転送先プールにルーティングするために使用されます。 コール パーク アプリケーションが展開および構成される各 Lync Server 2010 プールには、1 つ以上のオービット範囲を指定できます。オービット範囲は、Lync Server 2010 展開でグローバルに一意である必要があります。
管理者は、通話がタイムアウトになった場合に通話をどこにリダイレクトするのかや、保留になっている発信者に音楽を流すかどうかなど、他のコール パーク設定も構成します。 管理者は、通話が保留になっている間に再生する音楽ファイルも指定できます。
コール パーク アプリケーションは、エンタープライズ VoIP のコンポーネントです。 エンタープライズ VoIP を展開するときに、コール パーク アプリケーションが自動的にインストールされ、アクティブ化されます。 ただし、コール パークを使用する前に、エンタープライズ VoIP 管理者は、コール パークを構成し、音声ポリシーを使用してユーザーに対してコール パークを有効にする必要があります。
応答グループ
組織内に、顧客サービス、社内のヘルプ デスク、ある部門の一般的な電話サポートなど、特定の種類の通話に応答および管理するグループが存在する場合、これらの種類の通話を管理するために応答グループを展開できます。 応答グループ アプリケーションは、着信通話をエージェントと呼ばれる指定されたユーザーにルーティングし、キューに配置します。 応答グループを使用すると、電話サポート サービスの利用を拡大できるだけでなく、これらのサービスを実行する際のオーバーヘッドを軽減できます。
発信者が応答グループに対して通話を行うと、その通話は、ハント グループまたは対話型音声応答 (IVR) の質問に対する発信者の回答に基づいて、エージェントにルーティングされます。 応答グループ アプリケーションは、標準の応答グループ ルーティング方法を使用して、通話を次のエージェントにルーティングします。 通話のルーティング方法には、シリアル、最長アイドル、パラレル、ラウンド ロビン、および新しい自動応答のルーティングがあり、すべてのエージェントが、現在のプレゼンス状態に関わらず、すべての着信通話で同時に呼び出されます。 応答できるエージェントがいない場合、エージェントが応答できるようになるまで、通話はキューに配置されます。 キューに配置されている間、エージェントが通話を受け付けるまで、発信者には音楽が流されます。 キューがいっぱいである場合や、キューに配置されている間に通話がタイムアウトになった場合、発信者にはメッセージが流され、切断されるか別の転送先に転送されます。 エージェントが通話を受け付けると、管理者による応答グループの構成内容に応じて、発信者にエージェントの ID が分かるようになる場合とならない場合があります。 エージェントは、公式または非公式にすることができます。公式にする場合、グループにルーティングされた通話を受け付ける前に、エージェントはグループにサインインする必要があります。非公式にする場合、通話を受け付けるために、エージェントがグループにサインインしたりサインアウトすることはありません。
注: |
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応答グループ アプリケーションは、マッチ メイキングと呼ばれる内部サービスを使用して、通話をキューに配置し、受付可能なエージェントを探します。 応答グループ アプリケーションを実行する各コンピューターでマッチ メイキング サービスを実行しますが、アクティブなマッチ メイキング サービスは Lync Server プールごとに一度に 1 つだけで、他はパッシブになっています。 予定外の停止時にアクティブなマッチ メイキング サービスが使用できなくなった場合、パッシブなマッチ メイキング サービスの 1 つがアクティブになります。 応答グループ アプリケーションは、通話のルーティングとキューイングが中断されずに継続するように、最善を尽くします。 ただし、マッチ メイキング サービスの移行が発生した場合、転送中にサービスの移行が発生した通話はすべて失われます。 たとえば、移行がフロント エンド サーバーのダウンによるものである場合は、そのときにそのフロント エンド サーバー上のアクティブなマッチ メイキング サービスで処理されていた通話も失われます。 |
応答グループは、部門環境やワークグループ環境に適切に拡張したり (詳細については、「応答グループの処理能力の計画」を参照)、まったく新しいテレフォニー インストールに展開できます。 エンタープライズ VoIP 展開からの着信通話と地域の通信事業者からの着信通話をサポートしています。 エージェントは、Microsoft Lync 2010、Microsoft Lync 2010 Phone Edition、または Microsoft Lync 2010 Attendant を使用して、通話をルーティングすることができます。
応答グループ アプリケーションは、エンタープライズ VoIP のコンポーネントです。 エンタープライズ VoIP を展開するときに、応答グループ アプリケーションが自動的にインストールされ、アクティブ化されます。
アナウンス
アナウンス アプリケーションは、ダイヤル番号が組織で有効であるがユーザーや電話に割り当てられていない場合に、その着信通話をどのように処理するのかを構成する必要がある場合に展開します。 アナウンス アプリケーションは、これらの通話を事前に設定しておいた転送先 (電話番号、SIP URI、またはボイス メール) に転送するか、音声アナウンスを再生するか、またはその両方を行うように構成できます。アナウンス アプリケーションを使用することで、発信者が誤ってダイヤルしたり、話し中の音が流されたり、または SIP クライアントがエラー メッセージを受け取ったりするような状況を避けることができます。
アナウンス アプリケーションを展開する場合、割り当てられていない番号の表を構成する必要があります。 割り当てられていない番号の表には、組織で有効な電話番号の範囲が含まれます。また、この表で、各範囲を処理するアナウンス アプリケーションを指定します。 発信者が組織で有効であるがどのユーザーにも割り当てられていない電話番号をダイヤルすると、Lync Server 2010 は割り当てられていない番号のルーティング テーブルでその番号を検索し、その番号が含まれている範囲を識別して、その範囲に指定されているアナウンス アプリケーションに通話をルーティングします。 アナウンス アプリケーションは通話に応答し、オーディオ メッセージを再生 (再生するように構成している場合) して、通話を切断するか、オペレーターなどの事前に設定しておいた転送先に通話を転送します。 Lync Server 管理シェル コマンドレットを使用して、複数の音声メッセージを構成したり、転送先に転送することができます。
割り当てられていない番号の表の構成方法はその使用方法によって異なります。 現在使用されていない特定の番号があり、各番号用に作成したメッセージを再生する必要がある場合、これらの特定の番号を割り当てられていない番号の表に入力できます。 たとえば、顧客サービス デスクの番号を変更した場合、古い顧客サービス番号を入力して、新しい番号を知らせるアナウンスをその番号に関連付けることができます。 組織から離れた従業員の番号など、割り当てられていない番号を呼び出す発信者に対して一般的なメッセージを再生する必要がある場合、組織内のすべての有効な内線番号の範囲を入力できます。 割り当てられていない番号の表は、発信者が現在割り当てられていない番号をダイヤルすると常に呼び出されます。
Lync Server 2010 では、アナウンス アプリケーションは応答グループ アプリケーションと共に自動的にインストールされます。 アナウンス アプリケーションと応答グループ アプリケーションは、エンタープライズ VoIP 展開の標準コンポーネントです。 エンタープライズ VoIP を展開するときに、これらの両方のアプリケーションが自動的に展開されます。