コンポーネント アーキテクチャ

次の図は、Reporting Services の配置の 3 層アーキテクチャを示しています。ここでは、データ層のレポート サーバー データベースとデータ ソース、中間層のレポート サーバー コンポーネント、およびプレゼンテーション層のクライアント アプリケーションと組み込みツールまたはカスタム ツールを示しています。また、サーバー コンポーネント間での要求およびデータの流れと、データ ストアからコンテンツを送信および取得するコンポーネントも示しています。実行時の接続方法の詳細については、「サービス、アカウント、および接続の計画」を参照してください。

アーキテクチャの図

Reporting Services のアーキテクチャ図

Reporting Services のアーキテクチャ

アプリケーション

レポート サーバーには、同じ Windows サービスで実行される次の 3 つのアプリケーションがあります。

  • レポート マネージャ。図では、レポート マネージャ コンポーネントで表されます。レポート マネージャは、Reporting Services Web サービスへのフロントエンド アクセスを提供するブラウザ アプリケーションです。

  • Reporting Services Web サービス。図では、Web サービス コンポーネントで表されます。このアプリケーションは、要求時に対話型のレポート処理を行います。

  • バックグラウンド処理アプリケーション。図では、Windows サービス コンポーネントで表されます。このアプリケーションでは、スケジュールによって起動されたレポートを処理し、目的の配信先にレポートを配信します。

各アプリケーションの詳細については、「サービスのアーキテクチャ (Reporting Services)」を参照してください。

データ ストレージ

レポート サーバーは、すべてのプロパティ、オブジェクト、およびメタデータを SQL Server データベースに格納する、ステートレス サーバーです。格納されるデータには、パブリッシュされたレポート、レポート モデル、およびレポート サーバーが管理するすべてのアイテムへのアクセスを提供するフォルダ階層が含まれます。レポート サーバー データベースは、Reporting Services の単一のインストール用、またはスケールアウト配置に含まれる複数のレポート サーバー用の内部記憶域を提供します。

拡張機能

レポート サーバーは、カスタム認証拡張機能、データ処理拡張機能、レポート処理拡張機能、表示拡張機能、および配信拡張機能をサポートします。レポート サーバーには、少なくとも 1 つの認証拡張機能、データ処理拡張機能、および表示拡張機能が必要です。配信拡張機能とカスタム レポート処理拡張機能は省略可能ですが、レポートの配信またはカスタム コントロールをサポートする場合は必須です。

セキュリティ拡張機能

セキュリティ拡張機能は、レポート サーバーに対してユーザーおよびグループを認証および認可するために使用します。既定のセキュリティ拡張機能は、Windows 認証に基づいています。配置モデルで別の認証方法が必要な場合 (たとえば、インターネットまたはエクストラネット用にフォームベースの認証が必要な場合) は、カスタム セキュリティ拡張機能を作成し、既定のセキュリティを置き換えることができます。Reporting Services の単一のインストールで使用できるセキュリティ拡張機能は 1 つだけです。既定の Windows 認証セキュリティ拡張機能を置き換えることは可能ですが、カスタム セキュリティ拡張機能と併用することはできません。

データ処理拡張機能

データ処理拡張機能は、データ ソースへのクエリを実行し、フラットな行セットを返すために使用されます。Reporting Services では、各種の拡張機能を使用して、さまざまな種類のデータ ソースと対話します。Reporting Services に含まれている拡張機能を使用することも、独自の拡張機能を開発することも可能です。SQL Server、Analysis Services、Oracle、SAP NetWeaver Business Intelligence、Hyperion Essbase、Teradata、OLE DB、ODBC の各データ ソース用のデータ処理拡張機能が用意されています。Reporting Services では、どのような ADO.NET データ プロバイダも使用できます。データ処理拡張機能は、次のタスクを実行することにより、レポート プロセッサ コンポーネントからのクエリ要求を処理します。

  • データ ソースへの接続を開きます。

  • クエリを分析し、フィールド名の一覧を返します。

  • データ ソースに対してクエリを実行し、行セットを返します。

  • 必要に応じて、クエリにパラメータを渡します。

  • 行セットを反復処理し、データを取得します。

一部の拡張機能は、次のタスクも実行できます。

  • クエリを分析し、クエリで使用されているパラメータ名の一覧を返します。

  • クエリを分析し、グループ化に使用されたフィールドの一覧を返します。

  • クエリを分析し、並べ替えに使用されたフィールドの一覧を返します。

  • ユーザー名とパスワードを指定して、データ ソースに接続します。

  • 複数の値を持つパラメータをクエリに渡します。

  • 行を反復処理し、補助メタデータを取得します。

詳細については、「レポート データへの接続」を参照してください。

表示拡張機能

表示拡張機能は、レポート プロセッサのデータとレイアウト情報をデバイス固有の形式に変換します。Reporting Services には、7 種類の表示拡張機能 (HTML、Excel、CSV、XML、Image、PDF、Microsoft Word) があります。

  • HTML 表示拡張機能   Web ブラウザを使用してレポート サーバーのレポートを要求すると、レポート サーバーは HTML 表示拡張機能を使用してレポートを表示します。HTML 表示拡張機能では、すべての HTML が UTF-8 エンコードを使用して生成されます。詳細については、「HTML での表示」および「ブラウザー サポートの計画」を参照してください。

  • Excel 表示拡張機能   Excel 表示拡張機能は、Microsoft Excel 97 以降のバージョンで表示および変更可能なレポートを表示します。この表示拡張機能は、バイナリ交換ファイル形式 (BIFF) でファイルを作成します。BIFF は、Excel データのネイティブなファイル形式です。Microsoft Excel で表示されたレポートは、スプレッドシートで利用できる機能をすべてサポートします。詳細については、「Microsoft Excel へのエクスポート」を参照してください。

  • CSV 表示拡張機能   コンマ区切り (CSV) 表示拡張機能は、書式を持たないコンマ区切りのプレーン テキスト形式のファイルでレポートを表示します。ユーザーは、Microsoft Excel などのスプレッドシート アプリケーション、またはテキスト ファイルを読み取る他のプログラムで、これらのファイルを開くことができます。詳細については、「CSV ファイルへのエクスポート」を参照してください。

  • XML 表示拡張機能   XML 表示拡張機能は、XML ファイル形式でレポートを表示します。これらの XML ファイルは、他のプログラムで保存したり読み込んだりすることができます。XSLT 変換を使用してレポートを別の XML スキーマに変換し、別のアプリケーションで使用できるようにすることも可能です。XML 表示拡張機能によって生成された XML は、UTF-8 でエンコードされます。詳細については、「XML へのエクスポート」を参照してください。

  • 画像表示拡張機能   画像表示拡張機能は、レポートをビットマップまたはメタファイルとして表示します。この拡張機能は、BMP、EMF、GIF、JPEG、PNG、TIFF、および WMF の各形式でレポートを表示できます。既定では、画像は TIFF 形式で表示されます。TIFF 形式は、使用するオペレーティング システムの既定のイメージ ビューア (たとえば、Windows 画像と FAX ビューア) で表示できます。ビューアからプリンタに画像を送ることができます。画像表示拡張機能を使用してレポートを表示することにより、すべてのクライアントで同じレポートが表示されます (ユーザーが HTML 形式でレポートを表示する場合、ユーザーが使用するブラウザ、ブラウザの設定、および使用できるフォントによって、レポートの外観が異なります)。画像表示拡張機能はレポートをサーバー上で表示します。そのため、すべてのユーザーが同じ画像を見ることができます。レポートはサーバー上で表示されるため、レポートで使用されるすべてのフォントがサーバーにインストールされている必要があります。詳細については、「画像ファイルへのエクスポート」を参照してください。

  • PDF 表示拡張機能   PDF 表示拡張機能は、Adobe Acrobat 6.0 以降のバージョンで開いたり表示したりすることができる PDF ファイル形式でレポートを表示します。詳細については、「PDF ファイルへのエクスポート」を参照してください。

  • Microsoft Word 表示拡張機能   Microsoft Word 表示拡張機能は、Microsoft Office Word 2000 以降と互換性のある Word 文書としてレポートを表示します。詳細については、「Microsoft Word へのエクスポート」を参照してください。

レポート処理拡張機能

レポート処理拡張機能を追加すると、Reporting Services に含まれていないレポート アイテム用のカスタム レポート処理を提供できます。既定では、レポート サーバーはテーブル、グラフ、マトリックス、一覧、テキスト ボックス、画像、および「その他のレポート アイテムの追加」で説明されているその他すべてのレポート アイテムを処理できます。レポートの実行中にカスタム処理を必要とする特別な機能をレポートに追加する場合 (たとえば、Microsoft MapPoint の地図を埋め込む場合)、その処理を実行するレポート処理拡張機能を作成できます。

配信拡張機能

バックグラウンド処理アプリケーションは、配信拡張機能を使用して、さまざまな場所にレポートを配信します。Reporting Services には、電子メールの配信拡張機能とファイル共有の配信拡張機能があります。電子メール配信拡張機能は、簡易メール転送プロトコル (SMTP) を使用して、レポートそのものまたはレポートへの URL リンクのいずれかを含む電子メール メッセージを送信できます。URL リンクやレポートを含まない短い通知を、ポケットベル、電話、またはその他のデバイスに送信することもできます。ファイル共有配信拡張機能は、ネットワークの共有フォルダにレポートを保存します。作成したファイルには、場所、表示形式、ファイル名、および上書きオプションを指定できます。表示したレポートをアーカイブしたり、非常に大きいレポートを扱うための方法の一部として、ファイル共有配信を使用できます。配信拡張機能はサブスクリプションと共に機能します。ユーザーはサブスクリプションを作成するときに、利用可能な配信拡張機能のいずれかを選択して、レポートの配信方法を決定します。