Profisee と Azure Purview を使用したデータ ガバナンス

Azure Data Factory
Azure Kubernetes Service (AKS)
Azure Synapse Analytics
Microsoft Purview
Power BI

エンタープライズ システムには、マスター データ (システム間で共有される共通データ) のソースが複数存在する場合があります。 これは、データ ソースをカタログ化するときに明らかになることがあります。 マスター データの例として、顧客、製品、位置情報、資産、ベンダー データなどがあります。 Profisee を使用してマスター データをマージ、検証、修正すると、それらのデータを効果的にすることができます。 具体的には、Profisee を使用して、分析と業務改善のために共通の信頼できるプラットフォームを構築できます。 Microsoft Purview で詳しく説明されているガバナンス定義、分析情報、専門知識を使用することで、プラットフォームを効果的に構築できます。

この参照アーキテクチャでは、Microsoft Purview と Profisee マスター データ管理 (MDM) プラットフォームを特徴としたガバナンスとデータ管理ソリューションを提供します。 これらのサービスは連携して、Azure 内のデータのビジネス価値を最大化する、高品質で信頼できるデータの基礎を提供します。 このソリューションに関する短いビデオは、「Azure での完全に統合されたマスター データ管理の機能」をご覧ください。

アーキテクチャ

次の図は、マスター データ ソリューションを開発および運用するときに実行する手順を示しています。 これらのの手順は、高度に反復的なものとして捉えてください。 ソリューションの進展に伴って、これらの手順とフェーズを、時には自動的に、また時には手動で、繰り返す場合があります。 自動的または手動のどちらの手順を使用するかは、マスター データ ソリューション、メタデータ、データに対して行われる変更によって異なります。

Architecture diagram of a data governance and management solution that uses Microsoft Purview and Profisee MDM in a microservice design architecture.

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データフロー

前の図に示したとおり、メタデータとデータ フローには次の手順が含まれています。

  1. 事前構築済みの Microsoft Purview コネクタを使用して、ソース ビジネス アプリケーションからデータ カタログを構築します。 コネクタは、データ ソースをスキャンし、Microsoft Purview データ カタログにデータを設定します。

  2. マスター データ モデルが Microsoft Purview に発行されます。 Profisee MDM で作成されたマスター データ エンティティは、Microsoft Purview にシームレスに発行されます。 この手順では、Microsoft Purview データ カタログにさらにデータを設定し、Microsoft Purview にこの重要なデータ ソースのレコードが確実にあるようにします。

  3. ガバナンス標準とデータ スチュワードシップのポリシーを使用して、マスター データ エンティティ定義を強化します。 データは Microsoft Purview でデータ辞書と用語集の情報、所有権データ、機密データ分類によって強化されます。 Microsoft Purview で使用できる定義とメタデータは、MDM データ スチュワードのガイダンスとして Profisee でリアルタイムで表示されます。

  4. ソース システムのマスター データが Profisee MDM に読み込まれます。 Azure Data Factory などのデータ統合ツールセットは、100 個以上の事前構築済みコネクタまたは REST ゲートウェイのいずれかを使用して、ソース システムからデータを抽出します。 マスター データの複数のストリームが Profisee MDM に読み込まれます。

  5. マスター データは、ガバナンス ルールに従って標準化、照合、マージ、強化、検証されます。 データ品質とガバナンス ルールは、Microsoft Purview などの他のシステムで定義される場合があります。 ただし、それらを適用するシステムは Profisee MDM です。 ソース レコードは、可能な限り最も完全で正しいレコードを作成するために、ソース システム内およびソース システム間で照合およびマージされます。 データ品質ルールでは、各レコードがビジネス要件と技術要件に準拠しているかどうかを確認します。 検証に失敗するか、低い確率スコアを返したレコードは、修復の対象となります。 失敗した検証を修復するために、ワークフロー プロセスは、レビューを必要とするレコードを、ビジネス データ ドメインの専門家であるデータ スチュワードに割り当てます。 レコードが検証または修正された後、ゴールデン レコード マスターとして使用できるようになります。

  6. トランザクション データがダウンストリーム分析ソリューションに読み込まれます。 Data Factory などのデータ統合ツールセットは、100 個以上の事前構築済みコネクタまたは REST ゲートウェイのいずれかを使用して、ソース システムからトランザクション データを抽出します。 ツールセットは、データを Azure Synapse Analytics などの分析データプラットフォームに直接読み込みます。 適切なマスター ゴールデン データがない状態でのこの生情報に関する分析は、データの重複、不一致、競合がまだ解決されていないため、不正確になります。

  7. Power BI コネクタを使用すると、キュレーションされたマスター データに直接アクセスできます。 Power BI ユーザーは、マスター データをレポートで直接使用できます。 専用の Power BI コネクタは、ロール ベース セキュリティを認識して適用します。 また、使用を簡単にするためにさまざまなシステム フィールドを非表示にします。

  8. 高品質でキュレーションされたマスター データは、ダウンストリーム分析ソリューションに公開されます。 マスター データ レコードが 1 つのゴールデン レコードにマージされると、元のレコードへの親子リンクが保持されます。

  9. 分析プラットフォームには、完全で、一貫した、正確な認定データの完全なセットがあります。 このデータには、適切にキュレーションされたマスター データと関連するトランザクション データが含まれます。 この組み合わせにより、さらなる分析のための信頼できるデータの強固な基盤が得られます。

  10. 高品質のマスター データが視覚化および分析され、機械学習モデルが適用されます。 システムはビジネスを推進する妥当な分析情報を提供します。

コンポーネント

  • Microsoft Purview は、オンプレミスおよびクラウドのデータ資産を幅広く可視化するデータ ガバナンス ソリューションです。 Microsoft Purview では、データの検出と分類、データ系列、メタデータの検索と検出、使用状況の分析情報が組み合わされて提供されます。 これらの機能はすべて、企業データ環境全体でデータを管理および把握するのに役立ちます。

  • Profisee MDM は、Microsoft テクノロジおよび Azure データ管理エコシステムとシームレスに統合される、高速かつ直感的な MDM プラットフォームです。

  • Data Factory は、ハイブリッド データ統合サービスです。 Data Factory を使用して、抽出、変換、読み込み (ETL) と抽出、読み込み、変換 (ELT) ワークフローの作成、スケジュール設定、調整を行うことができます。 Data Factory には、ソース システムからデータを抽出するために使用できる 100 個以上の事前構築済みコネクタと REST ゲートウェイも用意されています。

  • Azure Synapse Analytics は、高速で柔軟性のある、信頼性の高いクラウド データ ウェアハウスで、超並列処理アーキテクチャを使用します。 Azure Synapse Analytics を使用して、弾力的かつ独立してデータのスケーリング、計算、格納を行うことができます。

  • Power BI は、組織全体に分析情報を配信できるビジネス分析ツール スイートです。 Power BI を使用すると、数百のデータ ソースに接続でき、データ準備が簡略化され、即席の分析が促進されます。 整ったレポートを生成した後、組織が Web やモバイル デバイスで使用するために公開することもできます。

代替

専用の MDM アプリケーションがない場合、MDM ソリューションを構築するために必要な技術的機能のいくつかを Azure で入手できます。

  • データ品質。 データを分析プラットフォームに読み込むときに、データ品質を統合プロセスに組み込むことができます。 たとえば、ハードコーディングされたスクリプトを使用して、Data Factory パイプラインにデータ品質の変換を適用できます。
  • データの標準化とエンリッチメント。 Azure Maps では、住所データのデータ検証と標準化を行うことができます。 標準化されたデータは、Azure Functions と Azure Data Factory で使用できます。 他のデータを標準化するには、ハードコーディングされたスクリプトを開発する必要がある場合があります。
  • 重複データの管理。 完全一致のために十分な識別子を使用できる場合は、Data Factory を使用して行の重複を除去することができます。 一致する行をマージするロジックを実装しながら、適切なデータ サバイバーシップ手法を適用するには、カスタムのハードコーディングされたスクリプトが必要になる場合があります。
  • データ スチュワードシップ。 Power Apps を使用すると、Azure 内のデータを管理するための基本的なデータ スチュワードシップ ソリューションをすばやく開発できます。 レビュー、ワークフロー、アラート、検証のための適切なユーザー インターフェイスを開発することもできます。

Microsoft 中心の環境では、一般に分析サービスとして Azure Synapse Analytics が推奨されます。 ただし、任意の分析データベースを使用できます。 Snowflake と Databricks は、選択肢として一般的です。

シナリオの詳細

Azure に読み込むデータの量が増えるにつれて、すべてのデータ ソースとデータ コンシューマーの間でデータを適切に管理する必要が生じます。 ソース システムで適切と思われていたデータが、共有すると不十分であることがよくあります。 情報が不足しているか不完全であったり、重複や競合があったりする可能性があります。 全体的に品質が低い可能性もあります。 必要とされているのは、完全で、一貫性がある、正確なデータです。

Azure データ資産に含まれるデータが高品質でないと、Azure のビジネス価値は、おそらく大幅に損なわれます。 解決策は、高品質で信頼できるデータの真のソースを生成して配信できるデータ ガバナンスと管理のための基盤を構築することです。 Microsoft Purview と Profisee MDM を連携させると、このようなエンタープライズ プラットフォームが形成されます。

Diagram that shows how Microsoft Purview and Profisee MDM transform ungoverned data into high-quality, trusted data.

Microsoft Purview は、すべてのデータ ソースをカタログ化し、重要な情報とデータ系列を識別します。 これにより、データ設計者には、すべてのデータに適用する適切なデータ標準を考慮する場所が与えられます。 Microsoft Purview では、ポリシーと標準の検出、分類、定義を行うガバナンスに重点が置かれています。 ポリシーと標準の適用、データ ソースのカタログ化、不十分なデータの修復のタスクは、MDM システムなどのテクノロジの範疇になります。

Profisee MDM は、任意のソースからマスター データを受け入れるように設計されています。 その後、Profisee MDM はデータを照合、マージ、標準化、検証、修正し、システム間で同期します。 このプロセスにより、データは適切に統合され、ビジネス インテリジェンス (BI) と機械学習の下流システムのニーズが満たされるようにします。 統合 Profisee プラットフォームにより、多数のデータ サイロ間でガバナンス標準が適用されます。

組み合わせて使用するとさらに便利に

Microsoft Purview と Profisee MDM は、連携するとさらに効果的に機能します。 これらを統合すると、データ管理タスクを効率化し、すべてのシステムに同じ標準を確実に適用することができます。 Profisee MDM は、そのマスター データ モデルを Microsoft Purview に発行し、そこでガバナンスに参加することができます。 その後、Microsoft Purview は、データ カタログや用語集情報など、ガバナンスの出力を共有します。 Profisee は、その出力をレビューして適用することができます。 連携して機能することで、Microsoft Purview と Profisee は、独立したオファリングよりも深い自然な "併用するとさらに効果的" な相乗効果をもたらします。

たとえば、エンタープライズ データ ソースをカタログ化した後、マスター データが複数のシステムに存在すると判断するかもしれません。 マスター データは、ドメイン エンティティを定義するデータのことです。 マスター データの例には、顧客、製品、資産、場所、ベンダー、患者、世帯、メニュー項目、成分などがあります。 異なる定義を解決し、システム間でこのデータを照合してマージすることは、このデータを意味のある方法で使用するために不可欠です。 効果を上げるには、Microsoft Purview で詳細を明らかにしたガバナンスの定義、分析情報、専門知識を使用して、Profisee MDM でマスター データをマージ、検証、修正する必要があります。 このようにして、Microsoft Purview と Profisee MDM はガバナンスとデータ管理の基礎を形成し、Azure におけるデータのビジネス価値を最大化します。

取得できるあらゆる情報を使用するという、別の手段もあります。 ただし、この方法を採用すると、誤解を招く結果を生成するリスクがあり、ビジネスに損害を与える可能性があります。 代わりに高品質のマスター データを使用することで、一般的なデータ品質の問題を回避します。 その後、システムは、分析、機械学習、視覚化に使用するツールに関係なく、ビジネスを推進する妥当な分析情報を提供します。 適切にキュレーションされたマスター データは、強固で信頼性の高いデータ基盤を形成するための重要な側面です。

Profisee MDM と Microsoft Purview を合わせて使用すると、次のような利点があります。

  • 共通の技術基盤。 Profisee は Microsoft テクノロジで作成されています。 Profisee と Microsoft は共通のツール、データベース、インフラストラクチャを使用するため、Microsoft テクノロジを使用する方は、Profisee ソリューションをもうよくご存じです。 実際、Profisee MDM は長年にわたって Microsoft マスター データ サービス上に構築されています。 現在、MDS の寿命が近づいてきており、Profisee はプレミア アップグレードおよび代替ソリューションといえます。
  • 開発者のコラボレーションと共同開発。 Profisee と Microsoft Purview の開発者は、それぞれのソリューション間の適切な補完的な適合を確保するよう、広範囲にわたる協力を行ってきました。 この協力により、お客様のニーズを満たすシームレスな統合を実現します。
  • 共同販売とデプロイ。 Profisee は、他のどの MDM ベンダーよりも多くの MDM デプロイを Azure 上で展開し、それを Microsoft Purview と共同で行っています。 Profisee は Azure Marketplace を通じて購入できます。 2023 会計年度において、Profisee は、Azure Marketplace でサービスとしてのインフラストラクチャ (IaaS)、サービスとしてのコンテナ(CaaS)、またはサービスとしてのソフトウェア (SaaS) オファリングとして入手可能な最上位レベルの Microsoft パートナー認定を持つ唯一の MDM ベンダーです。
  • 迅速で信頼性の高いデプロイ。 あらゆるエンタープライズ ソフトウェアにとって非常に重要な機能が、迅速で信頼性の高いデプロイです。 Gartner Peer Insights プラットフォームによると、Profisee では、完了するまでに 90 日未満の実装が他のどの MDM ベンダーよりも多く提供されています。
  • 複数のドメイン。 Profisee では、MDM に対して本質的に複数のドメインを使用するアプローチが用意されています。 作成できるマスター データ ドメインの数に制限はありません。 この設計は、データ資産の最新化を計画しているお客様に適しています。 お客様は、まずは限られた数のドメインから始めるかもしれませんが、最終的にはデータ資産全体のドメイン カバレッジを最大化することでメリットを得られます。 このドメイン カバレッジは、データ ガバナンスのカバレッジとも一致します。
  • Azure 向けの設計。 Profisee は、Azure 上の SaaS デプロイと マネージド IaaS または CaaS デプロイのオプションを備えており、クラウド ネイティブに設計されています。

考えられるユース ケース

MDM のユース ケースの詳細な一覧については、この記事の後半の「MDM のユース ケース」をご覧ください。 MDM の主要なユース ケースには、次の小売および製造の例が含まれます。

  • 分析のために顧客データを統合する。
  • 製品データを、一貫性のあるアクセス可能な形式で完全に把握する (各製品の名前、説明、特性など)。
  • 参照データを確立して、マスター データの説明を一貫した方法で拡張する。 たとえば、参照データには、国/リージョン、通貨、色、サイズ、測定単位のリストが含まれます。

また、これらの MDM ソリューションは、タイムリーな報告などの重要なアクティビティでデータに大きく依存している財務組織に役立ちます。

MDM の Microsoft Purview との統合

次の図は、Microsoft Purview での Profisee MDM の統合を詳しく示しています。 この統合をサポートするために、Profisee のガバナンス サブシステムでは、Microsoft Purview との双方向の統合が提供されています。これは、次の 2 つの異なるフローで構成されます。

  • ソリューション メタデータの発行は、データ モデラーによってマスター データ モデル、マッチング戦略、およびそれに関連する副産物が変更されたときに発生します。 これらの変更は、発生した時点で Microsoft Purview に発行されます。 これらの変更を発行すると、マスター データ モデルとソリューションに関連するメタデータが同期されます。 その結果、Microsoft Purview データ カタログがさらに設定され、Microsoft Purview にこの重要なデータ ソースの記録が含められます。
  • ガバナンスの詳細が返され、データ スチュワードとビジネス ユーザーに提供されます。 これらの詳細は、ユーザーが Profisee の FastApp ポータルを使用してデータ品質の問題を表示して修復するときに入手できます。

Diagram that shows how Profisee MDM integrates with Microsoft Purview to ingest, model, and govern data.

Microsoft Purview の統合機能

Microsoft Purview のカタログと用語集は、統合を最大限に活用するのに役立ちます。

マスター データ モデルの設計

MDM ソリューションの準備における課題の 1 つは、マスター データの構成要素と、マスター データ モデルにデータを入力するときに使用するデータ ソースを決定することです。 Purview がこの作業に役立ちます。 重要なデータ ソースをスキャンする機能を活用し、データ スチュワードと領域の専門家 (SME) に参加してもらうことができます。 このようにして、Microsoft Purview データ カタログに情報を充実させて、スチュワードがアクセスできるようにし、マスター データ モデルと基幹業務システムの連携を強化することができます。 競合している用語を調整することができます。 このプロセスにより、ビジネスで標準化する用語や定義を最適に反映したマスター データ モデルが生成されます。 また、誤解を招く古い用語を回避することができます。

次の図は、大きい図から抜き出したもので、この統合ユース ケースを示しています。 まず、Microsoft Purview のシステム スキャン機能を使用して、基幹業務システムからメタデータを取り込みます。 次に、データ スチュワードと SME が充実したカタログと連絡先を準備します。 その後、Profisee MDM のモデリング サービスを使用して作業するデータ モデラーは、マスター データ モデルを準備して進化させることができます。 この作業は、Microsoft Purview で定義された標準に一致するように行われます。

Diagram that shows a use case of Profisee MDM integrating with Microsoft Purview to ingest, model, and govern data.

データ スチュワードがモデルを進化させると、Profisee MDM プラットフォーム内のモデリング サービスによって変更が発行され、それらは Profisee MDM のガバナンス サービスによって受信されます。 その後、Profisee MDM によってこれらの変更が準備されて Microsoft Purview に転送され、更新されたデータ カタログに含められます。 これらがカタログに追加されると、マスター データ定義がより広範なデータ資産に含まれるようになり、基幹業務システムのメタデータと同じ方法で管理および制御できるようになります。 この情報が一緒にカタログ化されるようにすると、マスター データと基幹業務システム データの間のリレーションシップを管理しやすくなります。

データ スチュワードシップ

それ相応に複雑で広範なデータ資産を持つ大企業は、データ スチュワードに課題を提示することがあります。データ スチュワードは、問題が発生するときに、その管理と修復に責任を持ちます。 主要なデータ ドメインは複雑になることがあり、制度上の多くの知識を持つ在籍従業員しか理解できない多くのあいまいな属性が含まれることがあります。 Profisee MDM と Microsoft Purview の統合を通して、組織内に関するこの知識を Microsoft Purview 内で取得し、Profisee MDM 内で使用できます。 その結果、重要で時間依存の情報を管理しているときに、企業データに関するこの知識の必要性を大幅に軽減できます。

次の図は、Microsoft Purview から Profisee の FastApp ポータルで作業しているデータ スチュワードへの情報の流れを示しています。 ガバナンス データ サービスは、Microsoft Purview や Microsoft Entra ID と統合されています。 このサービスでは、ブックマーク参照機能が提供されます。 FastApp ポータルのユーザーは、この機能を使用して、操作しているエンティティと属性に関する強化されたガバナンス データを取得できます。

Diagram that shows how data stewards use the Profisee portal to work with data that Microsoft Purview and Profisee MDM manage.

また、ガバナンス サービスを使って Microsoft Purview から受け取った連絡先を完全なプロファイルの詳細に解決し、それを Microsoft Entra ID で使うこともできます。 完全なプロファイルの詳細を使用すると、スチュワードは、マスター データの品質を向上させる作業を行う際に、データの所有者や専門家と効率的に共同作業することができます。

Profisee MDM ガバナンス ダイアログは、データ スチュワードとユーザーがガバナンス レベルの詳細をやり取りするためのインターフェイスです。 この UI により、Microsoft Purview から取得した情報がユーザーに表示されます。 ユーザーはこの情報を使用して、ダイアログの起動元になるデータの背後にある詳細を確認できます。 ガバナンス ダイアログに表示される情報では不十分な場合、ユーザーは、Microsoft Purview のユーザー エクスペリエンスに直接移動することもできます。

データ スチュワードとビジネス ユーザーは、FastApp ポータルを使用して、次の 3 種類の Profisee MDM データ資産にアクセスできます。

  • Profisee インスタンス。ユーザーが表示している Profisee MDM プラットフォームの特定のインスタンスについてインフラストラクチャ プロパティを提供します。
  • Profisee エンティティ。スチュワードまたはユーザーが現在表示しているマスター データ エンティティ (テーブル) のプロパティを提供します。
  • Profisee 属性。ユーザーが関心のある属性 (フィールドや列など) のプロパティを提供します。

次の図は、FastApp ポータルで作業しているユーザーが、それぞれの種類の資産のガバナンス詳細を表示できる場所を示しています。 インスタンス レベルの詳細は、[ヘルプ] メニューで参照することができます。 エンティティの詳細は、エンティティ グリッドを含むページ ゾーン ヘッダーからアクセスできます。 属性の詳細については、エンティティ グリッドに関連付けられているフォームに移動します。 属性に関連付けられているラベルからアクセスします。

Screenshot of the Profisee portal. Information about customers is visible. On the Help menu, Governance instance is highlighted.

概要情報を表示するには、ガバナンス アイコン (Microsoft Purview など) にマウス ポインターを置きます。 アイコンを選択すると、次のような完全なガバナンス ダイアログが表示されます。

Screenshot of the Profisee portal. On the Customer page, a dialog provides detailed information about the date of birth attribute.

Microsoft Purview の完全なユーザー エクスペリエンスに移動するには、ダイアログ ヘッダーにあるガバナンス アイコンを選択します。 そのアイコンを選択すると、現在表示している資産のコンテキストで Microsoft Purview に移動します。 その後は、検出のニーズに基づいて、Microsoft Purview 内で自由に移動できます。

MDM の処理

MDM ソリューションの機能について詳しく説明します。

データ モデリング

MDM ソリューションの中核となるのは、基になるデータ モデルです。 これは、会社内のマスター データの定義を表します。 マスター データ モデルの開発には、次のタスクが含まれます。

  • システム環境全体から、会社の業務に不可欠で、パフォーマンスを分析するための中核となる、ソース データの要素を特定します。
  • データをより便利に、正確かつ信頼できる仕方でレンダリングする他のサードパーティ ソースから取得した要素を使用して、モデルをエンリッチします。
  • データ モデルの要素に関連する明確な所有権とアクセス許可を確立します。 この手法によって、可視性と変更管理がモデルの設計に確実に反映されるようにできます。

データ ガバナンスは、データ ガバナンスは、サポートのための重要な基盤を提供します。

  • ガバナンスのデータ カタログ、辞書、用語集、サポート リソースは、ガバナンス データ スチュワードにとって非常に重要な情報源です。 これらのリソースは、スチュワードがマスター データ モデルの一部として何を含めるべきかを判断するのに役立ちます。 Microsoft Purview の所有権と機密データ分類を判断するのにも役立ちます。 用語をモデル内で増強することができます。 この方法により、お客様のビジネスに関する公式の辞書を確立することができます。 また、用語を統合することで、マスター データ モデルで、さまざまなソース システムで使用されている難解な用語をビジネスで承認された言語に変換することもできます。
  • 多くの場合、サードパーティ システムは、基幹業務システムとは別の独立したマスター データのソースとなります。 これらのシステムによってデータに追加される情報を取り込むためにモデルに要素を追加し、これらの情報源をデータ カタログにも反映させることが重要です。
  • ガバナンス カタログで特定された所有権とデータ アクセス権を使用して、MDM ソリューション内でアクセス権と変更管理権限を適用することができます。 その結果、会社のポリシーとニーズを、マスター データの管理とスチュワード操作に使用するツールと一致させることができます。

ソース データの読み込み

異なる基幹業務システムでマスター データ モデルにデータが読み込まれるときには、変更または変換がほとんど、またはまったく行われないのが理想的です。 目標は、ソース システムに存在するように、データの集中管理されたバージョンを保持することです。 ソース システムとマスター データ リポジトリの間での忠実性の損失をできるだけ小さくします。 読み込みプロセスの複雑さを制限することで、データ系列をより単純にします。 また、Data Factory パイプラインなどのテクノロジを使用すると、ガバナンス ソリューションでフローを調査できます。 その後、ソリューションはソース システムとマスター データ モデル間の関係性を特定できます。 具体的には、ソリューションは 100 個以上の事前構築済みコネクタと REST ゲートウェイを使用して、ソース システムからデータを抽出できます。

データのエンリッチメントと標準化

ソース データをモデルに読み込んだら、サードパーティ データの豊富なソースを利用してそれを拡張できます。 これらのシステムを使用して、基幹業務システムから取得したデータを改善できます。 また、他の下流コンシューマーのために用途を拡張する情報をソース データに付加して増強したりすることもできます。 たとえば次のような点です。

  • Bing などの住所確認サービスを使用して、ソース システムの住所を修正および改善できます。 これらのサービスでは、地理的な場所やメール配信にとって重要な不足している情報を標準化して追加できます。
  • Dun & Bradstreet などのサードパーティの情報サービスは、汎用または業界固有のデータを提供できます。 これらのデータを使用して、マスター データの価値を拡張できます。 具体的には、異なる基幹業務システムから使用できなかった情報や競合する情報を追加するかもしれません。

Profisee の発行および登録インフラストラクチャを使用すると、必要に応じて独自のサードパーティ ソースをソリューションに簡単に統合できます。

このデータのソースと背後にある意味を理解することは、社内基幹業務システムの場合と同じように、サードパーティ データの場合も重要です。 マスター データ モデルをガバナンス データ カタログに統合することにより、内部データ ソースと外部データ ソース間の関係性を管理しつつ、ガバナンスの詳細を使用してマスター データ モデルを強化できます。

データ品質の検証とスチュワードシップ

データを読み込まれ、強化したら、品質とガバナンス プロセスを通じて確立された標準に対する準拠性を確認することが重要です。 前述のとおり、Microsoft Purview は標準についての豊富な情報源となります。 Microsoft Purview を使用して、MDM ソリューションによって適用されるデータ品質ルールを推進できます。 Profisee MDM も、データ品質ルールをガバナンス カタログに対する資産として発行できます。 ルールはレビューと承認の対象にすることができ、これは、マスター データに関連付けられている品質基準に対してトップダウンの監視を提供するのに役立ちます。 このルールはマスター データのエンティティと属性に関連付けられており、それらの属性はソース システムに対して追跡できます。 これらの理由で、基幹業務システムから生成されるデータ品質が低い場合の根本原因を突き止めることができます。

データ スチュワードは、ビジネス ドメインの専門家です。 データ スチュワードは、マスター データ ソリューションが明らかにする問題に対処するときに、Microsoft Purview のデータ ガバナンス カタログを使用できます。 カタログは、スチュワードが発生した品質の問題を理解し、解決するのに役立ちます。 データ所有者と専門家のサポートにより、スチュワードはデータ品質の問題にすばやく正確に対応する準備ができています。

照合とサバイバーシップ

エンリッチされた高品質のソース データを使用して、異なる基幹業務システム全体で最も正確な情報を表すゴールデン レコード マスターを生成できます。 次の図は、ビジネス分析にすぐに使用できる高品質なデータがどのような手順で完成するかを示しています。 このデータは、いつでもデータ エステート全体で同期できます。

Diagram that shows how survivorship and data lineage factor into a golden record and how data is enriched.

Profisee MDM の照合エンジンは、サバイバーシップ プロセスの一部としてゴールデン レコード マスターを生成します。 サバイバーシップのルールは、ソース システム全体から選択された情報を使用して、ゴールデン レコードに選択的にデータを設定します。

Profisee MDM の履歴および監査追跡サブシステムでは、ユーザーによって行われる変更を追跡します。 このサブシステムは、サバイバーシップなどのシステム プロセスが行う変更も追跡します。 照合とサバイバーシップを使用すると、ソース レコードからマスターへの情報の流れを追跡できます。 Profisee MDM は、特定のソース レコードの情報源になっているソース システムを把握しています。 また、お客様は、さまざまなソース レコードからゴールデン レコードのデータがどのように設定されたかを理解しています。 そのため、分析から、それらのレポートが参照するソース データへのデータ系列を得ることができます。

MDM のユース ケース

MDM には多くのユース ケースがありますが、現実の世界の MDM 実装をほとんどカバーしているユース ケースは少数です。 これらのユース ケースでは 1 つのドメインに重点を置いていますが、そのドメインだけで構築される可能性はありません。 ここで注目しているユース ケースでも、ほとんどの場合に複数のドメインが含まれます。 各ユース ケースで、MDM は必要なデータ型を完全に把握する (つまり、統合したビューを提供する) という目的を果たします。

顧客データ

BI 分析のための顧客データの統合と標準化は、MDM の最も一般的なユース ケースです。 組織では、増加するシステムとアプリケーションから顧客データがキャプチャされます。 その結果、重複する顧客データが作成されます。 これらの重複はアプリケーション内およびアプリケーション間に存在し、一貫性がなく、一致しません。 顧客データの質が低いと、最新の分析ソリューションの価値が制限されます。 症状には、次のような課題があります。

  • "上得意の顧客はだれか"、"獲得した新規顧客の数" といった基本的なビジネス上の疑問に対する回答を得ることは困難です。こういった疑問に回答するには、大幅な手動作業が必要になります。
  • 顧客情報が不足していたり不正確であったりするため、データのロールアップやドリルダウンが困難になります。
  • 組織やシステムの境界を越えて顧客を一意に識別することができません。 そのため、システムまたは事業単位をまたがって顧客データを分析できません。
  • 入力データの品質が低いため、AI や機械学習からの分析情報の品質が低下します。

製品データ

多くの場合、製品データは、エンタープライズ リソース プランニング (ERP)、製品ライフサイクル管理 (PLM)、eコマース アプリケーションなどの複数のエンタープライズ アプリケーションに分散しています。 その結果、製品の名前、説明、特性などのプロパティの定義に一貫性がない総合的な製品カタログができあがり、理解するのが困難になります。 参照データの定義が異なると、この状況が複雑になります。 症状には、次のような課題があります。

  • 製品分析でさまざまな代わりの階層ロールアップおよびドリルダウン パスをサポートできません。
  • 完成品または材料の在庫のため、製品の在庫と確立されたベンダーの評価が困難になります。 また、重複する製品が存在し、過剰な在庫が発生します。
  • 定義が矛盾しているために製品を理論的に説明するのが困難です。 この状況では、分析で情報が欠落したり不正確になったりします。

参照データ

分析のコンテキストでは、参照データは多数のリストとして存在します。 これらのリストは、他のマスター データのセットをさらに説明するために使用されます。 たとえば、参照データには、国/リージョン、通貨、色、サイズ、測定単位のリストが含まれます。 参照データに一貫性がないと、下流の分析で明らかなエラーにつながります。 症状は次のとおりです。

  • 同じ値に複数の表現があります。 たとえば、ジョージア州が "GA" や "Georgia" として一覧に含まれていると、データの一貫した集約やドリルダウンが困難になります。
  • システム間で参照データ値を参照 (またはマップ) できないため、システム間でデータを合理化するのが困難です。 たとえば、赤い色が、ERP システムでは "R" と表され、PLM システムでは "Red" で表されているような場合です。
  • データの分類に使用される確立された参照データ値に違いがあるため、組織間で数値を結び付けるのが困難です。

財務データ

財務組織は、月単位、四半期単位、年単位の報告書などの重要なアクティビティについて、データに大きく依存しています。 複数の財務システムや会計システムを使用する組織は、多くの場合、複数の総勘定元帳にまたがって財務データが存在し、財務レポートを作成するために統合する必要があります。 MDM を使用すると、アカウント、コスト センター、ビジネス エンティティ、その他の財務データセットをマップして管理するための中央ハブを提供できます。 この中央ハブを通して、MDM はこれらのデータセットの統合ビューを提供します。 症状には、次のような課題があります。

  • 複数のシステムにわたる財務データを統合ビューに集約するのが困難です
  • 財務システムに新しいデータ要素を追加してマッピングするためのプロセスがありません。
  • 期末の会計報告の作成が遅れます。

考慮事項

以降の考慮事項には、ワークロードの品質向上に使用できる一連の基本原則である Azure "Well-Architected Framework" の要素が組み込まれています。 詳細については、「Microsoft Azure Well-Architected Framework」を参照してください。

組織のデータ管理ソリューションを選択する際には、次の要素を考慮に入れてください。

[信頼性]

信頼性により、顧客に確約したことをアプリケーションで確実に満たせるようにします。 詳細については、「信頼性の重要な要素の概要」を参照してください。

Profisee は、Azure Kubernetes Service (AKS) と Azure SQL Database でネイティブに実行されます。 どちらのサービスにも、高可用性をサポートするためのすぐに使用できる機能が用意されています。

セキュリティ

セキュリティは、重要なデータやシステムの意図的な攻撃や悪用に対する保証を提供します。 詳細については、「セキュリティの重要な要素の概要」を参照してください。

Profisee によるユーザーの認証は、OAuth 2.0 認証フローが実装された OpenID Connect を使用して行われます。 ほとんどの組織では、Microsoft Entra ID に照らしてユーザーの認証が行われるように Profisee MDM が構成されており、認証に関するエンタープライズ ポリシーを確実に適用できます。

コストの最適化

コストの最適化とは、不要な費用を削減し、運用効率を向上させる方法を検討することです。 詳しくは、コスト最適化の柱の概要に関する記事をご覧ください。

実行コストは、ソフトウェアのライセンスと Azure の使用量で構成されます。 詳細については、Profisee にお問い合わせください。

パフォーマンス効率

パフォーマンス効率とは、ユーザーによって行われた要求に合わせて効率的な方法でワークロードをスケーリングできることです。 詳細については、「パフォーマンス効率の柱の概要」を参照してください。

Profisee MDM は、AKS と SQL Database でネイティブに実行されます。 AKS は、Profisee MDM をスケールアップおよびスケールアウトし、ビジネス機能間でスケーリングするように構成できます。 SQL Database は、パフォーマンス、スケーラビリティ、コストが適切なバランスになるように、多数のさまざまな構成でデプロイできます。

動的スケーリングは Profisee のクラウドネイティブ アーキテクチャに固有です。Profisee ではマイクロサービスとコンテナーが使用されます。 Kubernetes を介して Profisee をクラウド テナントで実行すると、負荷に応じて動的にスケールアップおよびスケールアウトできます。 AKS 上で実行する Profisee SaaS サービスを使用すると、ポッドの大きなノード プールを構成できます。 これらのプールは、マルチテナント インフラストラクチャ間のシステムの負荷に応じて動的にスケーリングします。

Profisee と Microsoft Purview を AKS にデプロイする方法の詳細については、「Microsoft Purview と Profisee MDM の統合」をご覧ください。

このシナリオのデプロイ

Profisee MDM は、パッケージ化された Kubernetes サービスです。 Profisee MDM は PaaS として Azure テナント、その他のテナント、オンプレミスにデプロイできます。 Profisee MDM を Profisee がホストおよび管理する SaaS としてデプロイすることもできます。

共同作成者

この記事は、Microsoft によって保守されています。 当初の寄稿者は次のとおりです。

プリンシパル作成者:

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次の手順

アーキテクチャ ガイド:

参照アーキテクチャ: