Office 展開ツールの概要
Office 展開ツール (ODT) はコマンドライン ツールです。このツールを使用すると、クライアント コンピューターに Microsoft 365 Apps をダウンロードして、展開することができます。ODT により、Office のインストールが詳細に制御できるようになります。つまり、インストールする製品や言語の種類、それらの製品の更新方法、インストール操作をユーザーに表示するかどうかを制御できます。
自宅やビジネスでの Office のインストールを検討している、エンタープライズ管理者ではない方は、「Office 365 で Office をインストールする」をご覧ください。
Office 展開ツールのダウンロード
Microsoft ダウンロード センターから Office 展開ツールをダウンロードします。
ファイルをダウンロードした後、自己解凍実行ファイルを実行します。そこには、Office 展開ツールの実行可能ファイル (setup.exe) およびサンプル構成ファイル (configuration.xml) が含まれています。
ODT を使用して Office をダウンロードまたはインストールする前に、最新バージョンを使用しているか確認することをお勧めします。
ヒント
ODT の最新バージョンでの変更点の詳細については、「Office 展開ツールのリリース履歴」を参照してください。
Office 展開ツールを使い始める
ODT は setup.exe と configuration.xml の 2 つのファイルで構成されています。このツールを使用するには、まず構成ファイルを編集することで必要なオプションを定義して、コマンド ラインから setup.exe を実行します。たとえば、構成ファイルを編集して、EULA が自動的に受け入れられる 64 ビットの英語版 Office をインストールできます。詳細なオプションについては、「Office 展開ツールの構成オプション」を参照してください。
注意
ベスト プラクティス: この記事では、Office 展開ツールの構成ファイルに含まれる XML 要素と属性を説明します。テキスト エディターで構成ファイルを作成し続けることもできますが、Office カスタマイズ ツールを使用することをお勧めします。Office カスタマイズ ツールを使用すると、Web ベースのインターフェイスで構成ファイルを簡単に作成および変更できます。詳細については、「Office カスタマイズ ツールの概要」をご覧ください。
ODT の実行時には、構成ファイルの場所を指定して、ODT が実行する モード を定義します。
Microsoft 365 Apps と、ご使用になる言語をダウンロードするには、download モードを使用します。例:
setup.exe /download downloadconfig.xml
。なお、ODT は、ダウンロード先のフォルダーに同じバージョンの Office が既にある場合、不足分のファイルのみをダウンロードすることにより、お客様のネットワークの帯域使用の軽減をはかります。たとえば、ODT を使って英語版の Office が既に含まれているフォルダーに英語とドイツ語版の Office をダウンロードする場合、ドイツ語の言語パックのみがダウンロードされます。ダウンロードした Microsoft 365 Apps 製品と言語をクライアント コンピューターにインストールするには、configure モードを使用します。configure モードは、Office 製品と言語の削除や更新にも使用します。例:
setup.exe /configure installconfig.xml
Microsoft 365 Apps が既にインストールされているクライアント コンピューターに新しいアプリケーションの設定を適用するには、custamize モードを使用します。このモードでは、他の展開設定を変更することなく、アプリケーションの設定のみが適用されます。例:
setup.exe /customize preferencesconfig.xml
ダウンロードした Microsoft 365 Apps 製品と言語から App-V パッケージを作成するには、packager モードを使用します。例:
setup.exe /packager packageconfig.xml
help モードを使用して、ツールのコマンド ライン ヘルプを参照することもできます。
Microsoft 365 Apps のインストール ファイルをダウンロードする
次の手順で、Microsoft 365 Apps のインストール ファイルを Office コンテンツ配信ネットワーク (CDN) からダウンロードします。
手順 1:構成ファイルを作成する
構成ファイルを作成するときには、サンプル ファイルから始めて、目的の環境に応じた適切なオプションでサンプル ファイルを更新するようにお勧めします。まず、次に示すサンプルをコピーしてテキスト ファイルに貼り付け、そのファイルに任意の名前を付けて保存します。次に、XML 要素と属性を編集して、必要なオプションを定義します。
たとえば次の構成ファイルでは、32 ビット 英語版の Microsoft 365 Apps for enterprise とサブスクリプション版 Visio デスクトップアプリをネットワークの\\server/share にダウンロードします。
<Configuration>
<Add SourcePath="\\server\share" OfficeClientEdition="32">
<Product ID="O365ProPlusRetail" >
<Language ID="en-us" />
</Product>
<Product ID="VisioProRetail" >
<Language ID="en-us" />
</Product>
</Add>
</Configuration>
構成オプションの詳細と例については、「Office 展開ツールの構成オプション」を参照してください。
手順 2: download モードで ODT 実行可能ファイルを実行する
コマンド プロンプトで、download モードに保存した構成ファイルへの参照を指定して、ODT 実行ファイルを実行します。この例では、構成ファイルには downloadconfig.xml: という名前が付いています。
setup.exe /download downloadconfig.xml
手順 3: ファイルがダウンロードされたことを検証する
コマンドを実行したら、構成ファイルで定義したダウンロードの場所に移動して、適切なファイルの入った Office フォルダーを探します。問題が発生した場合は、ODT の最新バージョンを使用していることを確認します。%temp% フォルダーにあるログ ファイルを確認して、問題をトラブルシューティングすることもできます。
ローカルのソースから Microsoft 365 Apps のインストール ファイルをダウンロードする
Office 展開ツールを使用して、Microsoft 365 Apps のインストール ファイルをローカルのソースから自分のネットワーク上にダウンロードできます。こうすることにより、Office の複数の言語と製品の大元となるコピーを保管し、ネットワーク上の別の場所に必要な言語と製品だけを配布できます。
ローカル ソースからダウンロードするには、ODT を使用して Office をダウンロードする手順に従いますが、構成ファイルには、インストール ファイルのダウンロード元の場所を定義したダウンロード パスを含めます。たとえば、次の構成ファイルは 32 ビットの英語版 Microsoft 365 Apps for enterprise を \\servera\share (DownloadPath) から \\serverb\share (SourcePath) にダウンロードします。
<Configuration>
<Add SourcePath="\\serverb\share" OfficeClientEdition="32" Version="16.0.6741.2056" DownloadPath="\\servera\share">
<Product ID="O365ProPlusRetail" >
<Language ID="en-us" />
</Product>
</Add>
</Configuration>
DownloadPath を使用するときには、Version を指定する必要があります。
Microsoft 365 Apps をインストールする
Microsoft 365 Apps のインストール ファイルをダウンロードしたら、次の手順を実行して、Office をクライアント コンピューター上にインストールします。このインストールの一環として、インストールする製品を選択できます。
手順 1: 構成ファイルを作成する
構成ファイルを作成するときには、サンプル ファイルから始めて、目的の環境に応じた適切なオプションでサンプル ファイルを更新するようにお勧めします。まず、次に示すサンプルをコピーしてテキスト ファイルに貼り付け、そのファイルに任意の名前を付けて保存します。次に、XML 要素と属性を編集して、必要なオプションを定義します。
たとえば次の構成ファイルでは、32 ビット英語版 Microsoft 365 Apps for enterprise を Publisher を除いてインストールします。
<Configuration>
<Add SourcePath="\\Server\share" OfficeClientEdition="32">
<Product ID="O365ProPlusRetail" >
<Language ID="en-us" />
<ExcludeApp ID="Publisher" />
</Product>
</Add>
<Display Level="None" AcceptEULA="TRUE" />
</Configuration>
Office インストール ファイルの場所は \\server\share です。表示レベルは None に設定されており、インストールの最中にユーザー インターフェイスがユーザーには表示されないことを意味します。また、AcceptEULA は TRUE に設定されており、インストールの最中に、EULA を承諾するためにユーザーがクリックをする必要がないことを意味します。
構成オプションの詳細については、「Office 展開ツールの構成オプション」を参照してください。
手順 2: configure モードで ODT 実行可能ファイルを実行する
コマンド プロンプトで、configure モードに保存した構成ファイルへの参照を指定して、ODT 実行ファイルを実行します。次の例では、構成ファイルは installconfig.xml という名前です。
setup.exe /configure installconfig.xml
クライアント コンピューターのローカル管理者のアクセス許可が必要です。Office をインストールするクライアント コンピューターから実行可能ファイルを実行したり、ODT と構成ファイルをネットワーク共有に置いて、そこからそれを実行したりできます。ネットワーク共有を使用する場合は、必ず setup.exe と構成ファイルの両方のフル ネットワーク パスをコマンドに渡します。
手順 3: インストールが正常に完了したことを確認する
コマンドを実行すると、Office のインストールが開始されます (表示レベルを None に設定した場合を除く)。インストールの完了後、コマンド プロンプトに「Products configured successfully」と表示されます。問題が発生した場合は、ODT の最新バージョンを使用していることを確認します。%temp% フォルダーにあるログ ファイルを確認して、問題をトラブルシューティングすることもできます。
Microsoft 365 Apps を更新する
Microsoft 365 Apps のインストール後に、Office 展開ツールを使用してクライアント コンピューターを更新できます。更新を行うには、次の 2 つの方法があります。
ODT を使用して、Microsoft 365 Apps を再度インストールします。これにより、Office が最新バージョンに更新されます。新しいバージョンで変更されたファイルのみが更新されます。
ODT を使用して Office のインストール ファイルをダウンロードし、その場所をクライアント コンピューターに示して更新を受信します。(既定では、クライアントは Office コンテンツ配信ネットワーク (CDN) から直接更新されます。)
クライアント コンピューターが更新を受信する場所を変更するには、ODT を configure モードで実行し、構成ファイルで更新プログラムのパスを指定します。たとえば、Microsoft 365 Apps が \\server\updates という名前のネットワーク共有から自動的に更新プログラムを取得するには、configuration.xml ファイルに次の行を追加します。
<Updates Enabled="TRUE" UpdatePath="\\server\updates" />
この記事では、組織で Office の更新を管理することに関連する問題を、すべてカバーしているわけではありません。グループ ポリシーの使用を含む、シナリオの詳細については、「Microsoft 365 Apps への更新プログラムの管理方法を選択する」を参照してください。
Microsoft 365 Apps アプリケーションをクライアント コンピューターから除外または削除する
Microsoft 365 Apps のインストール時には、特定のアプリケーションを除外することができます。これを行うには、ODT を使用した Office のインストール手順に従いますが、構成ファイルに ExcludeApp 要素を含めます。たとえば、次の構成ファイルは Publisher 以外の Microsoft 365 Apps for enterprise アプリケーションをすべてインストールします。
<Add SourcePath="\\Server\share" Version="15.1.2.3" OfficeClientEdition="32">
<Product ID="O365ProPlusRetail" >
<Language ID="en-us" />
<ExcludeApp ID="Publisher" />
</Product>
</Add>
既に Microsoft 365 Apps をインストールしている場合は、以前インストールしたアプリケーションを ExcludeApp 要素を使用して削除することもできます。たとえば、上記の構成ファイルでは、以前の Office のインストールから Publisher を削除します。
Microsoft 365 Apps の言語バージョン全体を削除することもできます。これを行うには、ODT を使用して Office をインストールするための製品を除外する手順に従いますが、構成ファイルを Remove 要素を使用するものと置き換えます。たとえば、次の構成ファイルでは、Microsoft 365 Apps for enterprise のスペイン語の言語バージョンを削除します。
<Configuration>
<Remove>
<Product ID="O365ProPlusRetail" >
<Language ID="es-es" />
</Product>
</Remove>
</Configuration>
アプリの除外または削除オプションの詳細については、「Office 展開ツールの構成オプション」を参照してください。
Microsoft 365 Apps やその他のアプリケーションをインストールする際に OneDrive を除外する
Microsoft 365 Apps をインストールする、または Word、Excel、PowerPoint、Publisher、Visio、Skype などの個別のアプリケーションをインストールすると、OneDrive も自動的にインストールされます。これらのアプリケーションのインストール時に OneDrive をインストールしない場合は、例に示すように、ExcludeApp 要素を使用して除外してください。
<Add SourcePath="\\Server\share" Version="15.1.2.3" OfficeClientEdition="32">
<Product ID="O365ProPlusRetail" >
<Language ID="en-us" />
<ExcludeApp ID="OneDrive" />
</Product>
</Add>
複数の言語または一致する言語を展開する
言語の展開の詳細は、「Microsoft 365 Apps の言語の展開の概要」を参照してください。
Microsoft 365 Apps にアプリケーション設定を適用する
展開作業の一環として、VBA マクロの通知、既定のファイルの場所、既定のファイル形式など、Microsoft 365 Apps のアプリケーションの設定を定義できます。これを行うには、「Microsoft 365 Apps をインストールする」の標準的な手順に従って Office を展開しますが、構成ファイルの一部としてアプリケーション設定を行う必要があります。
構成ファイルの作成には、すべてのユーザー インターフェイスを完備した Web アプリケーションであるクイック実行用 Office カスタマイズ ツールを使用することを推奨します。
- Web ブラウザーで クイック実行用の Office カスタマイズ ツール を開き、標準的な展開設定と共にアプリケーションの設定の定義などを含む構成ファイルを手順に従い作成します。
- ファイルをエクスポートします。
- 「Microsoft 365 Apps のインストール」の手順に従い、新たに作成した構成ファイルを使用して Office を展開します。
たとえばこの構成ファイルでは、32 ビット英語版 Microsoft 365 Apps for enterprise をインストールし、Excel ですべての VBA マクロに対してセキュリティ バーを表示します。
<Configuration>
<Add OfficeClientEdition="32" Channel="Current">
<Product ID="O365ProPlusRetail">
<Language ID="en-us" />
</Product>
</Add>
<AppSettings>
<User Key="software\microsoft\office\16.0\excel\security"
Name="vbawarnings"
Value="3"
Type="REG_DWORD"
App="excel16"
Id="L_VBAWarningsPolicy" />
</AppSettings>
</Configuration>
このファイルは、Office カスタマイズ ツール クイック実行で作成されたものです。アプリ設定の情報については、ツール自体のオプションを参照することをお勧めします。
注: Office がインストールされると、構成ファイルで定義されているアプリ設定は、デバイスの既存のユーザーすべてと、将来的にデバイスに追加される新規ユーザーに適用されます。
インストール済みの Microsoft 365 Apps にアプリケーション設定を適用する
展開設定を全く変えることなく、Microsoft 365 Apps が既にインストールされているクラアント コンピューターに新しいアプリケーション設定を適用することができます。これを行うには、アプリケーションの設定が含まれた構成ファイルを作成し、customize モードで ODT を実行します。アプリケーション設定以外の全ての構成ファイルの設定が無視されます。
- 構成ファイルを作成するには、「アプリケーションの設定を定義する」の手順を使用します。
- コマンド プロンプトで、ODT 実行可能ファイルを customize モードで、作成した構成ファイルへの参照を指定して実行します。以下の例では、構成ファイルの名前は installapppreferences.xml となっています。
setup.exe /customize installapppreferences.xml
アプリの設定を適用するクライアント コンピューターから実行可能ファイルを実行する必要があります。また、そのコンピューターのローカル管理者のアクセス許可を持っている必要があります。カスタマイズ モードの使用時は、構成ファイルで定義されているアプリの設定が、デバイスの既存のユーザーすべてと、将来的にデバイスに追加される新規ユーザーに適用されます。Office アプリの実行時にアプリケーションの設定を適用した場合、次に Office を再起動すると設定が適用されます。
Microsoft 365 Apps の App-V パッケージを作成する
Microsoft 365 Apps のダウンロードと展開のほかに、Office 展開ツールを使用して App-V パッケージを作成することもできます。これを行うには、構成ファイルを更新して、ODT を packager モードで実行します。App-V パッケージは、オペレーティング システムがクリーン インストールされたコンピューター上で作成する必要があります。
この記事では、App-V パッケージの展開に関連のある問題をすべてカバーしているわけではありません。シナリオの詳細については、「App-V を使用して、Microsoft Office 2016 を展開する」を参照してください。
手順 1: 構成ファイルを作成する
構成ファイルを作成するときには、サンプル ファイルから始めて、目的の環境に応じた適切なオプションでサンプル ファイルを更新するようにお勧めします。まず、次に示すサンプルをコピーしてテキスト ファイルに貼り付け、そのファイルに任意の名前を付けて保存します。次に、XML 要素と属性を編集して、必要なオプションを定義します。
たとえばこの構成ファイルでは、Publisher を除いた 32 ビット英語版 Microsoft 365 Apps for enterprise の App-V パッケージを作成します。
<Configuration>
<Add SourcePath="\\Server\share" OfficeClientEdition="32">
<Product ID="O365ProPlusRetail" >
<Language ID="en-us" />
<ExcludeApp ID="Publisher" />
</Product>
</Add>
</Configuration>
Office インストール ファイルの場所は \\server\share です。構成ファイルでは、例の値を使用する環境に適したオプションで置き換えてください。オプションについての詳細は、「Office 展開ツールの構成オプション」を参照してください。
手順 2: packager モードで ODT 実行可能ファイルを実行する
コマンド プロンプトで、ODT を packager モードで、保存した構成ファイルと App-V パッケージを保存する場所への参照を指定して実行します。以下の例では、構成ファイルの名前は packageconfig.xml となっており、App-V パッケージは \\server\share\appv\ に保存されます。
setup.exe /packager packageconfig.xml \\server\share\appv\
手順 3: パッケージが作成されたことを確認する
コマンドの実行後、パッケージの場所には App-V Packages フォルダーと WorkingDir フォルダーが必要です。%temp% フォルダーにあるログ ファイルを確認して、問題をトラブルシューティングできます。