Eseutil /P 修復モード

 

Eseutil の修復モードは、アプリケーション レベルではなく、ページおよび Extensible Storage Engine (ESE) テーブル レベルでデータベースの問題を修正します。Eseutil を使用してデータベースを修復した後、ISInteg を実行して、アプリケーション レベルでデータベースを修復する必要があります。データベースのページ レベル、ESE テーブル レベル、およびアプリケーション レベルの意味を理解するには、「データベース回復戦略」を参照してください。Eseutil /P を使用するための構文と手順の詳細については、「さまざまなシナリオで Eseutil /P (修復) を実行する方法」を参照してください。

修復中、テーブルの行や、場合によってはテーブル全体の破棄が必要になることがあります。ESE レベルの修復を完了した後、アプリケーション レベルの修復を実行して、失われたデータのためにアプリケーション レベルに存在する可能性のある問題を修正する必要があります。インフォメーション ストア整合性ユーティリティ (ISInteg) を使用すると、この Exchange アプリケーション レベルの分析と修復を実行できます。次の例は、Eseutil による修復の動作のしくみについて説明しています。

たとえば、データベース内のあるテーブルにすべてのメールボックスのメッセージが格納されているとします。各ユーザーの受信トレイ フォルダには、別のテーブルが使用されます。Eseutil を使用してメッセージ テーブルを修復しているときに、あるメッセージが失われたとします。Eseutil はアプリケーションのテーブル間スキーマを認識していないため、そのメッセージを、各受信トレイ フォルダ内のそのメッセージへの参照に関連付けることはしません。修復されたメッセージ テーブルを各受信トレイ フォルダと比較し、失われたメッセージを受信トレイから削除するには、ISInteg が必要になります。

つまり、Eseutil は各 Exchange データベース ページおよびテーブルを調べて、各テーブル内の一貫性と整合性を保証します。Eseutil の後に実行することが推奨される ISInteg は、アプリケーション レベルでデータベースを修復し、テーブル間の関係の整合性を保証します。

データベースを修復するには、次の 3 つの段階をこの順序で実行します。

  1. データベースのページ レベルとテーブル レベルの修復を実行するために、Eseutil を /P モードで実行します。
  2. インデックスを完全に再構築し、データベースを最適化するために、Eseutil を /D モードで実行します。
  3. アプリケーション レベルでデータベースを修復するために、ISInteg を実行します。
note注 :
修復が正常に終了しても、データベースが常に使用可能になるとは限りません。システム メタデータの損失によって、データベースがマウント不可または空になる場合があります。データベースを修復できないときは、バックアップからデータを復元するか、または新しいデータベースを作成することができます。

修復されたデータベースを運用環境に戻す

修復されたデータベースを運用環境に永久に残すかどうかについては判断が分かれます。多くの管理者は、修復されたデータベースをデータ復旧の目的にのみ使用することを方針にしています。管理者は、メールボックスを可能な限り速やかに別のデータベースに移動するか、修復されたデータベースのデータを既知の正常なデータベースに結合します。

Eseutil と ISInteg はどちらも、検出および修正されたエラーが記載された詳細な修復ログ ファイルを生成します。特定のエラーの原因と結果の詳細については、マイクロソフト サポート技術情報を検索するか、または「一般的な Eseutil エラーのリファレンス」のトピックを参照してください。これらの情報は、修復されたデータベースを運用環境に残すリスクを受け入れるかどうかの決定に役立つことがあります。

Eseutil /P に関するベスト プラクティス

Eseutil /P は、バックアップからデータベースを復元できない場合、またはトランザクション ログを完全にロール フォワードできない場合に使用します。

note注 :
トランザクション ログ ファイルをロール フォワードできない場合は、複合型の戦略が最適です。データベースの有効なバージョンをバックアップから復元し、破損したデータベースを回復用ストレージ グループで修復した後、この 2 つのデータベースを結合することができます。

データベースを修復するときは、以下のベスト プラクティスに従うことをお勧めします。

  • 修復されたデータベースを長期にわたって運用環境に残さないようにしてください。
  • バックアップが使用可能な場合は、Eseutil の修復オプションを使用しないでください。
  • Eseutil の修復モードを使用して -1018 エラーを削除しないでください。エラー -1018 の詳細については、マイクロソフト サポート技術情報の文書番号 812531「[Support WebCast] [Microsoft Exchange] エラー -1018 の原因とその解決方法」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=3052&kbid=812531) を参照してください。

Exchange の以前のバージョン

次の表は、各種バージョンの Exchange における Eseutil の修復モードのしくみについて説明しています。

Exchange 200x

既定では、修復プロセスの詳細なログ出力は、database.integ.raw という名前のプレーン テキスト ファイルに格納されます。このログによって、修復されたテーブルや、修復を必要とした問題がわかります。

Exchange 5.5

同様の詳細情報を入手するには、/V スイッチで詳細なログ出力を指定する必要がありました。

詳細情報

詳細については、『Exchange Server データベース ユーティリティ ガイド』の以下のトピックを参照してください。